若者はなぜ3年で辞めるのか?
若者はなぜ3年で辞めるのか? 年功序列が奪う日本の未来 (光文社新書)
- 作者: 城繁幸
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2006/09/15
- メディア: 新書
- 購入: 17人 クリック: 447回
- この商品を含むブログ (613件) を見る
日本企業の歪んだ組織/人事構造を痛烈に切り捨ててます.IT関連のソフトウェアエンジニアだからっていまや専門職とは言えない時代になってきてますしね.自分にとってもかなり耳の痛い話もあり,いろいろ考えさせられる本です.若者よりもむしろ中高年の方,必読です.
メモ
昭和的価値観
- 人材採用の考え方「新卒・一括・ところてん」 → 「組織のコアとなれる能力と,一定の専門性を持った人材」
- 原因は,ミスマッチとレール崩壊.学生には以下の2タイプ
- 明確なキャリアプランを持ち,そのために努力し,源泉採用に対応して正社員としての地位を獲得するGp
- だたなんどはなしに有名企業ばかりに応募し続け,なかなか内定の取れないGp
- タイプ1の社員は,入社後,希望していた業務と実際の業務とのギャップがあると強烈なフラストレーション
- 年功序列というレールの崩壊によって,半数以上の人間は働き損で終わる.彼らがうけとるのはポストではなくやり場のない徒労感.
2つの人事制度
- 職務給: 欧米,担当する職務内容によって給料を決めるシステム.誰がどこまでの仕事を担当するのか,その切り分けが非常に明確になされている.自由裁量
- 職能給: 日本,勤続年数を軸に給与を決めるシステム.業務担当範囲がすごく曖昧.年長者しか権限がなく,若者は自分の能力を発揮できない.
サラリーマンとビジネスマン
- 大手外資系コンサルに言わせると,「日本企業のキャリアなんてまったく評価しない.あれは本質的にはマックのバイトと同じだから.」
- 貧乏くじを引いたのはバブル世代だった.社会人としての重要な最初の数年間を,会社から与えられるキャリアだけを受け取りながらすごしてしまった.まさに子羊の群れ状態だ.その後,氷河期就職戦線を勝ち抜いてきた狼との競争にさらされ,格差の世代となる.
30歳で捨てられる技術者
- 年功序列が若いころの報酬を将来の出世で払うものだったが,その保障なんてどこにもない時代になってしまった.
- 技術の蓄積よりも確信のスピードのほうが重要になり,キャリアを重ねても必ずしも人材の価値が上がるとはいえなくなった.
- そういう意味でその他事務一般よりもはるかに深刻な状況である.
どうすれば
転職によって成功する人は1割程度
- 転職の理由が,「社風が古い」「もっと面白い仕事がしたい」程度の漠然としたものなら,それは転職によって解決する可能性はむしろ低い.明確に「自分は〜をやりたい」という動機のある人間なら,ハッピーになる可能性は高い.
- 転職後悔組に共通するのは,転職によって期待するものがあくまでも「組織から与えられた役割」「もっとマシな義務を与えてくれ」であること.動機の根源が内部ではなく外部に存在するという点で,狼たちと決定的に異なるのだ.