千円札は拾うな
- 作者: 安田佳生
- 出版社/メーカー: サンマーク出版
- 発売日: 2006/01/20
- メディア: 単行本
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奇抜なタイトルで人目を引く,これまた中身のない本かと思いきや,著者は「採用の超プロが教えるできる人できない人」などでも有名な,ワイキューブの安田さんではないですか.本屋で初めて見かけてから,このいかがわしいタイトルのせいでずいぶんと敬遠していました.にも関わらずベストセラーになっていたのにはやっぱりちゃんとしたわけがありました.食わず嫌いは損ですね.
「千円札は拾うな」.つまり目先の利益に捉われるなってことだろぉ?と僕も読む前は思いました.でもそんなありきたりの内容がやっぱりベストセラーににはならないのです.実はもう少し深い話が書かれています.
本書の中の刺激的なフレーズをいくつかピックアップしてみます.どうでしょう?何を言わんとしているか説明できるものはありますか?
- 残業をやめれば給料は増える
- 優秀な人材には仕事をさせない
- 「本郷猛」を鍛えてはいけない
- 変化値は捨てられるものの量で決まる
- 自分の給料を下げる努力
この本のテーマはズバリ,「常識をいくつ捨てられるか」を私たちに問いかけています.キーワードは,「先を見る」,「変化」,「捨てる」の3つ.著者独特の意表をつくフレーズと身近な事例で,私たちの常識で固められた心にズバッとと切り込んでくる,そんな感じでスラスラ読めちゃいます.
で,先ほどの,『「本郷猛」を鍛えてはいけない』の意味するところを抜粋しますと,
スキルアップと成長は違う.スキルは身につけていくものだが,成長とは変化することだ.<中略>
本郷猛が仮面ライダーになるように,全く別のものに変身するということ.鍛えられた本郷猛になることではない.成長とはいうのはそういうものだ.過去の自分を捨てることによって,人は初めて新しい自分を得ることができるのである.
1つのトピックをビジネスの事柄として考えると,つまり私たちの常識で考えてしまうと,どうしてもある思考の枠から抜け出せないことが多いものです.本書は,実にうまくその固定化された思考の枠をスッと外してくれます.非常にスッキリとした読後感です.最近あまり変化がないなぁと思われるサラリーマンの方は是非ご一読を.
メモ
- 頑張ってもどうにもならないとわかると,人はがむしゃらに頑張るのをやめ「頭を使う」ようになる
- 優秀な人というのは,暇な時間ができると,必ずなにか新しいものを生み出す.
- 「人材」「情報」「ブランド」何十倍,何百倍の投資効果
- 人が生きていくうえで必要なのは,お金そのものではない.必要なときに必要なお金を作り出すことのできる能力を身につけることである.
- 将来大成するかどうかは,「お金の使い方」「時間の使い方」
- 人生での総収入を増やすためのお金の使い方
二十年も三十年も大きな組織の中で限られた仕事しかやってこなかった人が,全く経験のない新しい仕事に就くことなど可能なのだろうか.それこそ,最大のリスクではないのか.しかも自分の力では避けようのないリスクである.