伝える力 / 池上彰

伝える力 (PHPビジネス新書)

伝える力 (PHPビジネス新書)

『稼ぐ人の文章術を身につける方法』というエントリの答にピッタリの本があったので,紹介します.

文章力をアップさせる

「もう一人の自分」を育てる

僕の場合は,「鳥のように上空から全体を俯瞰してみる」とか「幽体離脱して自分の背後からみる」ようなイメージをもって,いつでも自由に上に行ったり戻ってきたりできるよう意識しています.ちなみに会議中は効果絶大です!

本書では,『すこしでもいいから,書くときも,話すときも「もう一人の自分」を常に意識する.そして自分で自分にツッコミを入れてみる』,とアドバイスしています.ものすごく納得.

プリンアウトして読み返す

これは,上記エントリに対するTamuraNokiaさんの『ローカル環境ではなくて実施環境(WEB上)で確認するといい』というコメントと似た手法ですね.本書はこれによって以下の3点が修正できると書かれています.実はこの指摘もTamuraNokiaさんのコメント,そのまんまでした.スゴイなぁ.

  • 誤字・脱字
  • 表現の不適切さ,幼稚さ,難解さ
  • 論理展開の未熟さ
寝かせてから見直す

これが,僕のアイデアでした.

音読する

文章のリズムを整えるためです.内容がいかにすばらしくても頭に入りづらいときは,たいていリズムを無視しているときです.

上司や先輩に読んでもらう

これができればいいけど….

人に話しながら,書く内容を整理する

書いた文章を見てもらうのではなく,書く前に先輩や同僚に話をしながら,書くべき内容を整理するという方法です.文章術とはちょっと違いますが,文章の構成や,どこがおもしろいのかポイントなのかを整理するにはいい方法かもしれません.

ブログを書く

「他者の刺激を受ける」「他者の目に触れる」ことを意識して書くのが大事ということです.現在,修行中…

新聞のコラムを要約する

日経なら「春秋」,朝日なら「天声人語」,読売なら「編集手帳」,毎日なら「余録」だそうです.

わかりやすく伝える

氾濫するカタカナ用語

イノベーション」「アイデンティティ」「フロンティア」「ホワイトカラー・エグゼンプション」「センシティブ」「ウィン・ウィン」など.すべてダメと言ってるわけではなく,時と場合によって使い分けることを薦めています.

「~性」「~的」はごまかしが利く

「利便性」「創造性」「必要性」「生産性」「機能的」「絶対的」「政治的」など.これで思考停止しちゃダメだということです.

さけるべき言葉・表現

「そして」「それから」

これらの接続詞が多い文章は,小学生の作文みたいに幼稚になりがちだからです.

順接の「が」

逆接の「が」と一瞬で区別できないため,文章がわかりにくくなるからです.

「ところで」「さて」

論理の積み重ねの腰を折ってしまうからです.プレゼンの場でもこれが口癖の人,結構いますよね.話が発散して非常にわかりづらいです.

「いずれにしても」

これは絶対に使ってはいけませんと注意しています.たとえば,ある主張に対する根拠を3つ述べていき,最後に「いずれにしても…」とやると,それまでの論理の積み上げがムダになってしまうのです.「以上3点から…」が正解.また論理に無理がある場合のごまかしの手段として使う傾向がありますとも指摘.これは気をつけないと!

著者,池上氏は元NHKアナウンサー.「週刊こどもニュース」というテレビ番組で,相当苦労して子供に政治や経済の説明をしてきた経験をもっているだけに,本書はそれはそれはわかりやすい.立ち読みでも十分ポイントは押さえられますよ.なんて書くと怒られそうですけど….