モバゲータウンがすごい理由 / 石野純也

いわゆる「勝手サイト」であるDeNAモバゲータウンを例に,ケータイ・コンテンツの動向と成功への鍵が書かれた本.

普段PCばかり使っている社会人というかオジサンにはなかなかわかりづらい若者のケータイ事情など,かなり新鮮で面白い.Web2.0なんて騒いでいた間にモバイルではこんなことになっていたなんて,ビックリ.

「インターネットの成功モデルをケータイに持ってくるだけでは駄目.そこにはモバイルという『魔法』をかける必要がある」

この言葉からもわかるように,PCとケータイにおいては,コンテンツのみならず,使う人,UI,使われ方など,両者の間にかなり深い溝が存在する.PCアプリをケータイ用に改変してもってきても決してビジネスは成功しない.そこにはパラダイムシフトが必要っぽい.

「今の若い子にとって,インターネットとはイコール,ケータイのことなのです.その年齢層のユーザーにPCコンテンツの話をしても『?』という反応しか返ってきませんよ」

だからといって中高生がPCを使えないというわけではない.調べ物をするときやYouTubeを見るときはPCを使う.ただ起動も早くどこでも使えるケータイの方が便利なのだと.PCとケータイ,それぞれの特徴を的確に把握している.

そういう意味では,本書あとがきに書かれていることは的を得ている.

PCを使えない若者の将来が危ういのと同様に,ケータイ・コンテンツの楽しさが分からない”オジサン”も情報弱者といえるのではないだろうか.

今の中高生が社会人になるころには,現実にそうなっているに違いないと思う.ヤバイ...

モバイル向けWebアプリを作ることを考えているなら,読んでおいたほうがよさそう.PCとケータイの溝というか感覚の違いを肌で感じていないとダメだろう.もちろんDeNAの守安氏のようにケータイを使い倒すことも必要.


メモ
  • 第3世代,第3.5世代(HSDPA 3.6Mbps,WIN 2.4Mbps)への移行
  • パケット定額
  • 「公式サイト」と「勝手サイト」
  • モバゲーは勝手サイトにも関わらず公式サイトを凌駕する勢い.
  • 各キャリアとも検索エンジン導入
  • スマートフォンフルブラウザがケータイの主流になるというよりは,あくまでも補助的にPCサイトを見るために使われると予想
  • DCMX,iDにより,勝手サイトでも課金モデルを採用できるようになる