なぜ投資のプロはサルに負けるのか? / 藤沢数希
なぜ投資のプロはサルに負けるのか?― あるいは、お金持ちになれるたったひとつのクールなやり方
- 作者: 藤沢数希
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2006/12/08
- メディア: 単行本
- 購入: 11人 クリック: 275回
- この商品を含むブログ (98件) を見る
DCF理論や現代ポートフォリオ理論について数式を交えて説明してくれてるのが,すごくいい.かといって,ものすごく堅い本というわけではなく,ブログがそのまま本になっているので著者独特の語り口が結構楽しめる.
ソフトウェア・エンジニアなら,この手の理論本がしっくりくる.本書を読んでから,他のインデックスファンドの本を読むと,たぶんその本の理解度や信用度が100倍は違うと思う.
お金がない人は,著者のブログ 「金融日記」で.
メモ
- リスク・プレミアム : ある資産の期待リターンから安全資産である国債の利回りを引いたもの
- 市場リスク(マーケット全体の価格変動リスク)に対して支払われるリスク・プレミアムは年率3%〜6%ぐらい
DCFモデル(Discounted Cash-Flow model)
将来価値(FV)と現在価値(PV)とディスカウント・レート(r)の関係 FV(n) = (1 + r)^n × PV FV : Future Value PV : present Value PV = FV(n) / (1 + r)^n
額面100円の利付債の理論価格 PV = C / (1 + r)^1 + C / (1 + r)^2 + C / (1 + r)^3 + ... + 100 / (1 + r)^n C : Coupon
マンションの理論価格 PV = CF1 / (1 + r)^1 + CF2 / (1 + r)^2 + ... + CFn / (1 + r)^n + FV(n) / (1 + r)^n CF = (1 - 税率) × (占有率 × 年間家賃 - コスト)
実用的などんぶり勘定
不動産価格 = 年間家賃 / 利回り = 120万円 / 5% = 2400万円
キャッシュフロー割引モデル EV = FCF1 / (1 + r)^1 + FCF2 / (1 + r)^2 + ... EV : 企業価値 FCF : フリーキャッシュフロー 理論株価 = (EV - net debt) / 発行済株式数 net debt : 有利子負債
どんぶり勘定 益回り = EPS / 株価 EPS(Earnings Per Share) : 1株あたりの利益 PER = 株価 / EPS PER : 株価収益率 理論株価 = 妥当なPER × 予想EPS
- 効率的市場仮説
- 「市場が効率的」とは,市場は(あらゆる情報をすでに織り込んでいるので)予測不可能だとか,市場に流通しているすべての証券には正しい価格がついているといった意味.
- 効率的市場仮説は,みんなが効率的市場仮説を信じないときにより正しくなり,みんなが信じると,正しくなくなってしまう.
- 有効フロンティア
- 許容リスクのなかで期待リターンが最大になる点をプロットした曲線
- 安全資産と接点ポートフォリオを組み合わせることにより,有効フロンティアの外にある直線上のリスクとリターンを実現できる
- 「金融日記:市場ポートフォリオという概念」の図がわかりやすい
市場が完全に効率的で,すべての投資家がリスク回避的に完全に合理的に行動するとするならば,すべての投資家は市場ポートフォリオと安全資産の組み合わせしか持たない.よってこのような前提を認めてしまえば,最もいい投資方法は市場全体に投資することだという結論になる.