アップルとグーグル / 小川浩,林信行
- 作者: 小川浩,林信行
- 出版社/メーカー: インプレスR&D(インプレス)
- 発売日: 2008/04/21
- メディア: 単行本
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実はあまり期待しないで読み始めたが,意外と面白かった.
アップルとグーグルをさまざまな側面から比較し,多様なメタファーで言い切るところがとてもわかりやすい.ただ若干両社を褒め過ぎな感は否めない.
「相対思考」ではなく「絶対思考」
自分の周りも大概そうだけど,日本の企業の多くが「相対思考」に陥っている.発想の出発点が他社製品やアメリカ企業だったりするもんだから,本質的にすばらしい,画期的な,破壊的なイノベーションやモノが生まれてこない.特にITやWebの世界では.
本当にいい製品をつくりたければ,向き合うべき相手は他社ではなく,自社のほうだ.
偉い人,企画な人,肝に銘じてほしい.
グーグルは高速道路を,アップルはスポーツカーをつくっている
グーグルハイウェイをアップルポルシェが疾走するようになると,手が付けられなくなる.ワクワクするけど,怖い気もする..
蛇口を抑えるアップルと水道を整備するグーグル
アップルがデザインしているのは,蛇口というインターフェイスそのものじゃない.その蛇口にどんな飲み物を流し,どう飲んでもらうかまで考えている.ユーザにみえるのは,アルミでできた,ただの蛇口にすぎないかもしれないけど.
アップルやグーグルの製品やサービスを真似する会社はたくさんあるけど,どれも成功しないのはなぜか?
アップルやグーグルが,時代の流れやウェブの本質,サービスの本質をとことん深いところまで,そして5年,10年先までを考えた結果(もちろん全てがそうじゃないと思うけど),モノをつくっているのに対して,彼らはその結果のみを真似しているからだ.そこには魂も情熱もない.10年前ならそれでもよかったが,今のユーザにはそれは全く通じないことがいまだにわかってないというわけだ.
冒頭にも書いたが,本書は両社を褒めすぎていると思う.けれど,アップルとグーグルの些細な言動,しくみ,コード,サービスから,ほんとうのところは何を考え何を狙い何を目指しているのか,ココを読み解くヒントのヒントをたくさん見つけることができる.