お金より名誉のモチベーション論

お金より名誉のモチベーション論  <承認欲求>を刺激して人を動かす

お金より名誉のモチベーション論 <承認欲求>を刺激して人を動かす

お金による動機付け,社会的欲求による動機付け,自己実現欲求による動機付け.いままでこれらが人々のモチベーションをあげるとされていました.

そして一見こうしたものに動機付けられているように見える場合でも,じつは背後にある,「じつは尊敬されたい」「認められたい」という承認欲求が大きくモチベーションに影響していると説明しています.

日本はその風土や歴史から,「表の承認」よりも「裏の承認」を重視してきたのです.

  • 表の承認: 突出した成果や卓越した能力を発揮したりする積極的な承認
  • 裏の承認: 序列を守り調和を保つことで消極的な承認

しかし,昨今の成果主義グローバル化などに,「裏の承認」がそぐわなくなってきたのです.そこで,もっと承認(最近はやりの褒めよう)しましょうということで,「名誉の分かち合い」(承認の多元化)を勧めています.

  • 多様な承認の軸
  • プライドの棚上げ
  • 準拠集団の切り離し
  • 外の血を入れる
  • 名誉の成果主義
  • 名前を出すとともに,裁量権を与える
  • パートやアルバイトにはゲーム感覚の「軽い承認」を
  • 仕事のプロセスを公開する
  • 「大失敗賞」
  • 徒弟性の復活を
  • 活躍の場を提供する「インフラ型リーダーシップ」
  • 客観的な情報にもとづいて褒める

日本人の特性などをとてもよく分析されていて,様々な面でどうして欧米人と違うのかということがとてもよくわかり,そしてその対処方法も的を得ています.自分の経験(メンバとしての経験,リーダーとしての経験)からもどれも納得いくものだと思いました.

筆者は大学教授という経歴ながら,ありがちな机上論ではなく,実際の職場をよく研究されていると感じます.ノウハウ本にはない緻密な調査・研究にもとづいた理論展開がわかりやすく,リーダーの方にオススメの本です.

計画をつくる「計画」 = 「メタ計画」を立てよう

プロジェクトは,飛行機のフライトに例えられることが多い.

フライトのどこがソフト開発プロジェクトと似てるかというと,離陸と着陸にもっともパワーが必要で大変だというところ.つまりプロジェクトの立ち上げは大変だということ.その立ち上げタスクの1つに,プロジェクト計画をつくるという大事なアイテムがあるんだけど,どうもこれがうまくいってない.
2ヶ月経ってもプロジェクトマネージャーから計画がでてこないのである.

理由を考えてみた.

  • プロジェクト計画の本当の目的・意義・重要度を理解していない
  • 各項目の内容そのものが作れない,作り方がわからない
  • プロジェクト計画を作ることの大変さがわからない
  • プロジェクト計画をつくった経験がない
  • リーダーやマネージメント(つまり外方向)に対しての計画になっている?
  • メンバと事前に全く共有されていない
  • 現場,有識者,PM経験者に相談しない
  • マネジメントがフォローしてない
  • 決まってないことが多すぎる


で,これらが本当の問題なのか…

僕は,「プロジェクト計画」をつくるための「計画」を立ててないことが本当の問題であると思う.(マネージメントの管理能力や,そもそものPMのスキル不足はやむを得ないとして)

冒頭でも言ったが,プロジェクトの立ち上がりでの計画策定は,実はものすごく難しいし時間もかかる.なぜなら不確定要素がもっとも多く,しかもそれぞれの分散も最大だからだ.もちろん初めから精度のよい計画なんてできるわけないんだけど,判断していかなければならない事は多い.外部・内部関係者,ステークホルダを含めて,多方面と議論し調整する事は山のようにあるし,技術的な制限や要求に対してリソース,スケジュールの調整をし,さまざまな分析・仮説をもとにした戦略立案が必要とされる.

ましてや経験の浅いプロジェクトマネージャーの場合ならなおさら,そこはしっかりと「プロジェクト計画」をつくる「計画」 = 「メタ計画」を立てるべきだと思う.