フラット化する世界
- 作者: トーマス・フリードマン,伏見威蕃
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞社
- 発売日: 2006/05/25
- メディア: 単行本
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まだ読んでいないあなたへ.あなたが眠っているあいだに,「世界のフラット化」は,静かにそして確実に想像を絶するスピードで,あなたを世界中の代替可能なその他大勢の「無能の民」として扱うようになる.実はあなたも薄々感づいているはずでは.日本経済は緩やかな回復を始めたのに,あなたの景気は冷え込んだまま.そう,富はとなりの大きな大きなビーカーにどんどん流れ出ていたのだ.
国家,企業,経済,もしくはITといった括りではなく,あなた個人が「世界のフラット化」について理解する必要性を説いている.危機でもありチャンスでもあるという強烈なメッセージを受け取った.
製品の製造はオランダ,マレーシア.部品供給は世界を結んだサプライチェーンで,ソフトウェアのテストは大連にオフショア,部署で働くエンジニアには中国人もインド人もいる.フランスやイギリスのエンジニアに部分的なソフト設計をアウトソース.読んだ後に自分の職場でのポジションを上空から客観的に見回してみた.確かに壁や天井はほとんどすっ飛んでいた.床がかろうじて見えてはいたが.
IT関係者ならば必読の書.となりの席の同僚が「無敵の民」になるアイデアに気付く前に.
メモ
グローバリゼーション
- グローバリゼーション 1.0 (1492-1800):国がグローバルに生き残れる方法を考える
- グローバリゼーション 2.0 (1800-2000):企業がグローバルに生き残れる方法を考える
- グローバリゼーション 3.0 (2000-):個人がグローバルに生き残れる方法を考える
- フラットな世界のプラットフォーム:パソコン,光ファイバ,ワークフロー・ソフトウェア
- 垂直な指揮・統制 → 水平な接続・共同作業
事例
フラット化の要因
三重の集束
- 第一の集束:10のフラット化要因が集束したことによるグローバルなプラットフォーム
- 第二の集束:フラット化した世界を最大限に利用するビジネス手法とスキルを組み合わせた集束
- 第三の集束:締め出されていた30億人が,あらゆる人たちと自由にプラグ&プレイできるようになった
休んでいるひまはありません.そんなものは消えてなくなりました.同じことをしている連中がおおぜいいるし,そのうえその連中はもっとうまくやろうとしている.トイレのなかの水ののようなものです.ゆさぶると,水は最も抵抗が少ないほうに流れる.まさにそれが多くの仕事に起ころうとしている − 最も抵抗が少なく,もっともビジネスチャンスが大きい場所へ,仕事がながれてゆきます.(中略)いまの現象は氷山の一角にすぎないということです.
無敵の民
- 「自分の仕事がアウトソーシング,デジタル化,オートメーション化されることがない人」
- フラットな世界には「代替可能な仕事と代替不可能な仕事の2つしかない」
新ミドルクラスに必要な人材
- 偉大な共同作業者・まとめ役
- 偉大な合成役
- 偉大な説明役
- 偉大な梃子入れ役
- 偉大な適応者
- スペシャリストは技術力は高いが,視野が狭く,仲間内では認められるような専門技能に長けているが,分野を離れたところではあまり高く評価されない.ゼネラリストは視野は広いが,技術力は低く,対応して行動するのはまずまず迅速だが,十分な技倆をしめすことができず,同僚や顧客の信頼が得られない場合も多い.これに対して,なんでも屋(バーサタイリスト)は,持ち場や経験の範囲が徐々にひろがるのに合わせて技術力を応用し,新たな能力をを身につけ,人間関係を築き,全く新しい役割を担う.なんでも屋は,たえず適応するだけでなく,学び,そして成長する.
- 「三つの問題の権威になるといい.ただし,その三つがたえず変わっているのは意識しないといけない」だから,いま私は,核となる本業と,それに緊密な関係があることと,今後やっていくことの三つを持とうとしているの
- グリーン・ピープル
- 熱心なパーソナライザー
- 偉大なローカライザー
理想の教育
9つのスレッドから2つを修得 (ジョージア工科大学 コンピュータ学部)
- コンピュータ&知能
- コンピュータ&具象
- コンピュータ&インターネット作業
- コンピュータ&プラットフォーム
- コンピュータ&情報
- コンピュータ&ピープル
- コンピュータ&メディア
- コンピュータ&モデリング
- コンピュータ基礎
- 25年前,ハードウェア,ソフトウェア,アルゴリズム − その3つのどこかに当たれば仕事がもらえた
フラット化時代の富を手に入れる国の条件
- インフラ
- 理想の教育プログラムと知識スキル
- 適切なガバナンス
思いやりのフラット主義の5つの行動領域
- 政治的リーダシップ
- 「雇用される能力」の強化
- 緩衝材の用意
- 社会改革運動
- 家庭における子育て
スティーブ・ジョブスはいう.「われわれは四分の三まで液体のはいったビーカーのようなものだ.その液体がアメリカの富だ.その隣にもっと大きなビーカーがあるが,そこには液体が少ししかはいっていない.いまわれわれがやっているのは,これまでつながれたことのなかったビーカーを,パイプでつなぐという作業だ」その結果,"とてつもないイノベーション"を続けないかぎり,われわれの生活水準は間違いなく低下する.
「1つの好事例は1000の理論に匹敵する」どうしても変わらなければならないときでないと,人間は変わろうとしない.自分に似た他人が変わって,繁栄しているのを見たときも変わる.「人間は人に教えられるのではなく,自分の目で確かめた結果として変わる」