最高のリーダー,マネジャーがいつも考えているたったひとつのこと
最高のリーダー、マネジャーがいつも考えているたったひとつのこと
- 作者: マーカスバッキンガム,Marcus Buckingham,加賀山卓朗
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞社
- 発売日: 2006/01/01
- メディア: 単行本
- 購入: 34人 クリック: 421回
- この商品を含むブログ (191件) を見る
ベストセラー「まず,ルールを破れ」「さあ,才能に目覚めよう」で知られるマーカス・バッキンガムの著書.マネジャー,リーダー,個人という役割に対して,知らなければならない「たったひとつのこと」に焦点をあてている.「たったひとつのこと」,ずいぶん奇をてらったタイトルと思われるが,実は多くのデータと分析に裏付けられた内容であることがわかる.さまざまな状況に幅広く適用でき,乗数のような働きをし,行動の指針になる - これらを「たったひとつのこと」を見極める条件として,核心にたどり着くべく独自の考察を展開している.個人の強みを活かす,未来を明確に示す,何をやらないべきか - アンバランスをめざせという筆者のメッセージは,とても簡潔で明解だ.
僕はマネージャーとリーダーの違いがあいまいでよくわからなく悩んでいた.本書はその違いを,わかりやすい文章で,非常に明確に説明してくれる.どちらかというと抽象的な内容ではあるが,その違いを理解するにはとても適している本だと思う.小手先のスキルやテクニック,知識にばかりとらわれることなく,まずは原則(=「たったひとつのこと」)を押さえた上で,よりマネージメントとリーダシップの知識を深めていくことが重要だからである.そういう意味でリーダー,マネージャ初心者は読んでおくべき本だと思う.
メモ
マネジャーとリーダー どうちがうのか?
- 真ん中から見る.頂点から見る
すぐれたリーダーは,よりよい未来に向けて人々を一致団結させる
- すぐれたリーダーシップを支える才能は,楽観主義と自我である.
- マネジャーの出発点は部下一人ひとりだ.マネジャーは部下の才能,スキル,知識,経験,目標といった要素を観察し,それをもちいて彼らがそれぞれ成功できる将来計画を立てる.部下一人ひとりの成功に専念する.
- リーダーの出発点は,自分が描く未来のイメージだ.よりよい未来こそ,リーダーが語り,考え,反芻し,計画し,練りあげるものだ.このイメージが頭のなかではっきりしたかたちをとって初めて,リーダーはまわりの人々を説得すること - 私が思い描く未来で,あなたも成功できる - に関心を向ける.
すぐれたマネジャーはチェスをする
- マネジャーの4つのスキル
- きちんと人を選ぶ
- 期待する仕事の内容をはっきりと示すこと
- 褒めることと認めること
- 部下に気づかいを示すこと
部下一人ひとりの特色を発見し,それを有効に活用すること
- 人材活用の3つの手がかり
- 強みと弱み
- 引き金
- 学習スタイル.「分析型」「行動型」「観察型」
- 3つの手がかりを見極める質問
- ここ3ヶ月で,仕事がいちばん楽しかった/つらかったのはいつか?
- そのとき何をしていたか?
- なぜそれがそんなに楽しかったか?
- いままでいちばんうまくいったマネジャーとの関係は?
- なぜうまくいったのか?
- いままでに褒められたり,認められたりしたなかでいちばん心に残っているのは?
- なぜそれほど心に残ったのか?
- これまでの仕事で,いちばん何かを学んでいると思ったのはいつか?
- なぜ多くを学んだのか?
- あなたにとっていちばんの学習スタイルは?
すぐれたリーダーは未来を描く
普遍的なことを発見して,それを活用すること
- 人々が明確さを求める4つの領域
- 誰のために働くか
- 核となる強みは何か
- 核となる尺度は何か
- 今日できることは何か
- リーダーシップの規律
- 考える時間を作る
- 慎重にヒーローを選ぶ
- 練習する
有能なリーダーは情熱的である必要はない.魅力的である必要もない.才気あふれる人物,親しみやすい人物でなくてもいい.弁舌に長けていなくてもいい.ただ明確であればいいだけだ.
何をするかではなく,何をしないか
自分がしたくないことを見つけ出し,それをやめる
継続的な成功とは,可能なかぎり大きな影響をもっとも長い期間与えること
- 3ヶ月ごとに時間をとって,次の質問に対する答えを書き出してみるといい.継続的に成功している人は,いちばん低い人で70%,高い人で95%だった.
- あなたが自己効力感を感じるのは - 楽観的,肯定的で,課題に対して確固たる自信があると感じるのは - 1日のうちの何パーセントか?もっと簡単に言えば,あなたがほんとうに好きなことをして過ごしているのは,1日のうちの何パーセントか?
- 4つの感情
- 退屈している場合:活動それ自体は楽しいかもしれないが,内容には熱中できずにいる
- 満足感がない場合:仕事事態は楽しく,うまくこなしていたとしても,自分の価値観とかみあわない
- ストレスを感じる場合:強みは抑えきれるものではない
- 消耗している場合:
- 役割をやめる,役割を微調整する,正しいパートナーを探す,役割のなかであなたの力を引き出す側面を見つける - これが強みの道から障害物を取り払うのに,もっとも効率的な4つの戦術だ.
- 仕事のきらいな部分を我慢する時間が長びけば長びくほど,成功できる可能性は低くなる.だからできることならすぐにでもそれをやめ,自由な気分で集中して,自分の最良の部分で何が達成できるかを考えることだ.
アンバランスであることをめざして
- それぞれの役割で見てきたように,決定的なスキルは,バランスをとることではなく,逆にアンバランスをめざすことだ.
- こういった方法に集中するには,洞察力と規律,勇気が必要だ.
参考
- EQリーダーシップ
- やわらかな遺伝子
- ピーターの法則:階層社会の構成員は,各自の能力を超えたレベルまで出世する
- http://marcusbuckingham.com