問題解決ファシリテーション(2)

議論を構造化する

筋道を明らかにする
  1. 「思考のプロセス」を追いかける
    • 起点(事実) → 経路(根拠) → 終点(意見)
  2. 理解を確認する
    • ペーシング
  3. 他の考えを探求する(思い込みに問いかける)
議論の空間を広げる(縦の論理と横の論理)
  • 縦の論理: いくつかの推論
    • 意見・主張 <-> 事実・経験
    • 手段・方策 <-> 目的・狙い
  • 横の論理: 多様な切り口
    • 具体化と抽象化
    • 肯定と否定
    • 空間,時間,立場,価値の転換
    • 仮定と極論
    • 部分最適全体最適
    • 理想論と現実論
    • 原因と結果
    • 行動論と精神論
議論の切り口を増やすフレームワーク
  • 3C(Customer, Competitor, Company)
  • 4P(Product, Price, Place, Promotion)
  • 企業改革の3要素(戦略の改革,業務の改革,風土の改革)
  • SWOT(Strength, Weakness, Opportunity, Threat)
  • バリューチェーン
  • プロダクトポートフォリオ(成長性×収益性)
  • アンゾフのマトリクス(市場×技術)
議論を整理する
  • 帰納法 (例えば…): 1つ1つを出していき,分類する
    • みんながあまり知らないとき
    • 時間はかかる
  • 演繹法 (そもそも…): 大枠を決めて,当てはめる
    • 下手すると,ファシリテータのみでやってしまう
    • 1段目を間違える可能性あり
議論を描く ファシリテーション・グラフィック
  • 空中戦から地上戦へ
  • 議論を書き留めるメリット:プロセス共有と参加の促進
    1. 議論のポイントを分かり易くする
    2. ポイントに意識を集中させる
    3. 共通の記録として残す
    4. 発言を定着させて安心を与える
    5. 発言を発言者から切り離す
    6. 議論に広がりを与える
  • 議事録型,マンダラ型
  • ペンの力は強い
    • 主導権を握りたければペンをもて
    • 主導権を握らせたくない人には絶対にペンをもたせるな
  • 議論を描くステップ
    1. キーワード(フレーズ)を書き出す
    2. キーワード(フレーズ)に装飾を加える
    3. キーワード同士の関係を明らかにする
    4. ツール(図解)を活用する
  • 構造化の道具箱 問題解決ツール
    • ツリー型: ロジックツリー,ディシジョンツリー,マインドマップ
    • サークル型: 円交差図,ベン図,ピラミッドチャート,親和図
    • フロー型: プロセスマップ,関連図,PERT
    • マトリクス型: Tチャート(メリットデメリットなど),クロスチャート,ポジショニングマップ,意思決定マトリクス
  • MECE(ミッシー, Mutually Exclusive Collectively Exhaustive):モレなくダブりなく
  • システム思考,フォースフィールド分析
ファシリテーターの禁じ手
  1. 独りよがり
    • 用意してきたプロセスやルールを押し付ける
    • チームの作業を一人でやってしまう
    • 気に入らない言動に感情的な対応をする
  2. 誘導する
    • 落とし所に向けて結論をリード
    • 特定の意見を強調(軽視)する
  3. 場まかせ
    • メンバの意見をなんでも受け入れる
    • 時間管理ができてない
  4. 見て見ぬふり
    • 問題児の放置
    • 雑談,脱線

対立を解消する

コンセンサスと対立
  • コンセンサスとは,全員の意見が完全に一致することではない.最低限みんなが受け入れられる1つの案をつくること.(=「これなら動ける」が大事)
  • 対立(コンフリクト):人間関係はそのままで,意見を対立させること.(日本人はこれが不得意)
対立にどう対処するか
  1. 意見のギャップを見つけ出す
  2. 互いの意見を共感的に理解させる
    • 主張の内容(コンテンツ),背景(コンテキスト)に対する理解
    • 相手の内容を説明させてみる.「彼の立場なら」理解できる.
    • どっちの立場が正しいはダメ,どちらも尊重する
  3. 両者が一致する目標(目的)に気づかせる
    • 上位概念から一致するところを探していく
  4. 対立を解消するアイデアを出させる
  5. 両者が満足するアイデアを選ばせる
    • 目に見える成果(要求の対象)
    • 目に見えない成果(満足感,信頼感,自尊心)
対立解消のアプローチ

レベル上位順に

  • 創造:協力し合って本質的な問題を解決する
    • 本当の要求を見つけ出す
    • 多面的な角度から柔軟なアイデアを出す
  • 交換:お互いの利害が反しないように取り替える
    • 互いの要求リストとその優先順位を理解しあう
    • 一番大事なものだけを得て,他は交換する
    • 交換できるカードをたくさん見つけ出す
  • 分配:双方の主張を分け合って決着させる
    • どちらが正しいかではなく,客観的基準にすりかえる(基準:過去,慣例,データ)
    • 説得
    • 妥協
    • 譲歩
  • 回避:先送り
対立解消のポイント
  • 本当の要求を見極めさせる
    • なぜ,自分の主張にこだわるのかを考えさせる
    • なぜ,相手が主張にこだわるのかを考えさせる
    • 立場と要求を混同しないようにさせる

お薦め書籍

ファシリテーション入門 (日経文庫) 問題解決ファシリテーター―「ファシリテーション能力」養成講座 (Best solution) ファシリテーション・グラフィック―議論を「見える化」する技法 (ファシリテーション・スキルズ)