ライフサイクルイノベーション
ライフサイクル イノベーション 成熟市場+コモディティ化に効く 14のイノベーション
- 作者: ジェフリー・ムーア,栗原潔
- 出版社/メーカー: 翔泳社
- 発売日: 2006/05/16
- メディア: 単行本
- 購入: 10人 クリック: 174回
- この商品を含むブログ (77件) を見る
企業活動の一部分しか担当しないエンジニアであっても,本書のような視点は非常に重要だ.技術革新とコモディティ化のスピードが驚異的な分野に携わる場合はなおのことである.
商品/サービスのあらゆるライフサイクルにおける,14種類のイノベーションを紹介.イノベーションの選択を考える上で,コア/コンテキスト,ビジネス・アーキテクチャという概念を混同するなと注意している.
最も重要なのは,イノベーションを起こす障害を取り除くこと.「コンテキストから資源を抜き出す」で述べている.大企業で陥りがちな誤りも言及されていて,納得である.
本書は企業経営について書かれているのだが,自分の身の回りの事例に落とし込んで考えると非常に興味深いと思う.自分の部署はどうか,自分が従事しているプロジェクトはどうか.さらに自分自身に当てはめて考えることを強くおすすめする.自分のスキルはライフサイクルのどこに位置するのか,コアであり続けるためには….
用語が多数でてくること,訳が若干わかりづらい,事例が多すぎる,など読みづらさは否めないが,内容は極めて多岐にわたり体系的に網羅されており,手元に置いておきたい1冊だと思う.
メモ
- 図表は以下の著書のページにあるものです.
概要
ライフサイクル
コアコンテキスト分析
ビジネス・アーキテクチャ
- コンプレックス・システム
- ボリューム・オペレーション
- 標準化された製品と商品取引により大量販売市場でビジネス
- コンシューマ(一般消費者)向けビジネス
- 両者は市場での地位は180度の位相差で周期的に進化している
- コンプレックス・システムが新しい市場を切り開き,ボリューム・オペレーションがコモディティ化するというスパイラル
イノベーション
製品リーダーシップ・ゾーン | 顧客インティマシー・ゾーン | オペレーショナル・エクセレンス・ゾーン | カテゴリー再生ゾーン |
---|---|---|---|
破壊的 | 製品ライン拡張 | バリュー・エンジニアリング | 自立再生 |
アプリケーション | 機能強化 | インテグレーション | 企業買収再生 |
製品 | マーケティング | プロセス | 収穫・撤退 |
プラットフォーム | 顧客エクスペリエンス | バリュー・マイグレーション | |
イノベーション選択のプロセス
コンテキストから資源を抜き出す
- コア・コンテキストフレームワーク: 差別化とリスクを軸とした4象限モデル
- 発明:非ミッション・クリティカル・コア:
- 展開:ミッション・クリティカル・コア:
- 管理:ミッション・クリティカル・コンテキスト:
- オフロード:非ミッション・クリティカル・コンテキスト:
- 「展開」の資源不足が問題.原因は「管理:ミッション・クリティカル・コンテキスト」に資源が滞留してしまうこと
- トップから現場までのあらゆるマネージャに見られる誤り:ミッション・クリティカル性とコアの混同である.
- 四半期の業績を追及するあまり,コアを犠牲にしている
- コアとは競合上の差別化の推進要素だ.将来の財務目標を達成するためのもの.
- 上記フレームワークの逆方向に資源リサイクルを行う