Google における開発組織マネジメント
ITProの記事「Google における開発組織マネジメント」は非常に興味深い。エッセンスを取り入れるべくメモ。
新製品開発プロセス
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/Watcher/20070109/258241/
キーワードは、「アイデア・メーリングリスト」、「20%プロジェクト」。アイデアとしては斬新というわけではないが、Google的なエッセンスが垣間見られる。
ブレスト+評価レビュー+ビジネス判断+ユーザレビューがまさにリアルタイムに動いている。大企業の思考では全くあり得ないスピード感でモノゴトが進む。興味深いのは、混沌としたアイデアを数多く集めて(集合知)それを自然淘汰(最適化)するしくみ(それもエンジニア達が)と、ビジネスとして引き上げていくしくみがうまく連動していることである。
一般企業では
縦割り化された大企業では、アイデアのビジネスへの引き上げでうまくいかないことが非常に多い。
- 会社全体として技術や商品の最適化がうまくいかないこと
- ローンチできたとしても市場/ユーザに受け入れられないこと
これはなぜか?
Googleのエッセンスがまさにその答えなのだが。あえて言うと、世の中の最新技術、市場動向、または現場に疎い、一部の偉いオジサンたちのあまりにも枠にはまった理論でモノゴトが暗に決まっていき(共有されず)、それがやっぱりほとんどあらゆる方向(ニーズ、時期、市場動向、方向性)でズレているからに他ならない。
なにができるか
いきなり全社規模でというのは現実味がないが、部署や有志でチャレンジしてみる。アイデア共有サイトを構築し、バーチャルプロジェクトでアジャイルにプロト開発する。20%は意識して時間を作り出す。その成果を上層部にプレゼンする。(もしくは独自にローンチしちゃう)
情報共有のチャネル
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/Watcher/20070125/259618/
気になったポイントは3つ。
- 個々のエンジニアの週報(義務)をイントラネットで共有
- プロジェクトデータベースは、様々なクエリーで整理/検索が可能
- グーグル・レジュメの共有
社内ブログ的な考えはいまでは一般的になった。雑多な情報から重要なポイントを瞬時に見つけ出すその検索ノウハウを知りたいと思う。実はそんなツールの販売とか既にやってたりして。
プロジェクトデータベースに関しては、GoogleAnalyticsやGoogleAdsenseから想像するに、データのとり方/見せ方にはGoogle独自のノウハウが詰まっていると思う。
一般企業では
一般に、メトリクスに対して現場は抵抗するものだが、エンジニアの手を煩わさずに自動でデータを記録し、それをグラフィカルに全員でリアルタイムに共有できたら、マネージャだけでなく、現場のエンジニアにとっても非常に有益だと思う。さらにプロジェクトを超えた全体最適化やマネージメントにも有効だ。こういったツールを開発してみたいと、個人的に思う。
人材配置の最適化と動機付け
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/Watcher/20070213/261840/
決して小規模ベンチャーではないGoogleがなぜ自発的意思のみで仕事をし、それが企業として高い成果を出し続けているのかについて言及している。
ポイントは3つ。
プロジェクト途中であっても、プロジェクトへの参加/離脱が自由であるらしい。つまり、グーグル・レジュメという社内履歴書と社内ブログ的なイントラ情報によるパーソナルブランドをひっさげて、プロジェクトを自由に選択する、いわば社内フリーランスな契約が可能なしくみがあるというのだ。
「優秀なエンジニアが興味や熱意を失うということは、そもそもそのプロジェクト自体がものにならないか、たいしたことがない、ということの証左だ」
非常にまっとうな回答すぎて何もいえないが、一般企業のプロジェクトはかなりのプロジェクトがこれの気がする。で、このしくみのおかげで、やる意味の全くない、偉いオジサンのためのエゴプロジェクトは、自然消滅する。すばらしいしくみだ。
。「エンジニアにとって、技術のわからない上司に評価されることなんて真っ平ごめんなんだ。だから自分の技術をよく理解している同僚の評価が重視されてる。これが一番納得できる。自分も他のエンジニアも。」
さらにまっとうすぎる。
こんなエンジニア神様な会社で働きたい。というかこんな会社を作りたいと思ってしまう。