発信力
- 作者: 樋口裕一
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2007/02
- メディア: 新書
- 購入: 7人 クリック: 88回
- この商品を含むブログ (32件) を見る
これからの情報社会で生き残るために、受信人間から発信人間になるべきとして、その考え方、具体的な文章法について述べている。
ブログを始めて"文章"を書いてみると、あるテーマについて論理的に自分の考えを述べる、という基本的なことが全くできないということに落胆させられる。普段仕事で書くドキュメントは、要点を簡潔にまとめたもので、その多くは箇条書きになる。もちろん論理展開には気をつけるのだが、"文章"には全く違う難しさがある。
本書を読んで、自分に足りないことを列挙してみた。
- "文章"を書くことに慣れていない(型を知らない)
- 社会的な教養不足
- 自分の考えがない(一般的な意見)
- ひねりがない
そもそもブログを始める理由の1つは文章力をつけることなので、メモのポイントを参考に続けることで鍛錬していきたいと思う。私事に終始してしまったが、発信人間の重要性、心構えを知りたい人には本書はおすすめ。本書の「小論文の型」についてさらに詳しく知りたい人は補足文献がおすすめ。
メモ
発信時代を生き抜くための25の心構えとテクニック (気になったものを抜粋)
- 人間は可塑的である
- セルフイメージにこだわるな
- おもてに表れないものは存在しない
- 情報とは「他者に向かって発信することを前提をした知識のこと」
- 「人前ではぱっとしないけど、実はすごいやつなんだ」は情報社会では意味なし
- アピールするのは義務
- 自分のことは棚に上げろ
- 人を批判するとき、自分のことは棚に上げるのが原則だ。そうしないと、ほとんどの人が何も批判できない。
- 音楽評論家、芸術批評
- 反論するのは義務である
- 社内で反論を出し、それに対する対処をしてこそ、外部に出すに足る括弧とした提言ができあがる。
- どうしても反論しにくいときは、質問で
- 面白半分の心を持て
- 満点をめざすな
- 真実は一つではない
- 真実は、それを見る人の数だけある。そう考えると、発信しやすくなる。
- 待たないで、自分でコントロールせよ
- みんなにウケようと思うべきではない。それよりは、ある程度、対象を絞る必要がある。
- 問題発見能力をつけよ
- あらゆることをあたりまえだと思わず、それにノーといってみる。
- 敢えてひねくれよ
- ひねり具合の不足は、修練の不足、教養の不足、才能の不足だったりする。
多くの人が考えるであろうこと、そして自分が最初に思いつくこと、それは常識的な考えだ。それを「自分の考え」と思うべきではない。それは、マスコミにマインドコントロールされたり、教育されたりして、単に思い込んでいるだけの考えでしかない。<中略>
ほかの人のさまざまな考えを思い出し、それを検討して、もっと説得力のある考えはないか、もっと自分らしい考えはないかと探す必要がある。それが考えるということなのだ。
- やれば、相手は何も言えなくなる
小論文の型
- 第一部:問題提起:(10%)
- 問題点を整理して、イエス・ノーを尋ねる問題提起をする。
- テーマをはっきりと、かつ簡潔に書く。文章は最初の5行で決まる。
- ×みんなが知っていること(当たり前のこと)を書いてしまう
- ○賛否両論ある問題を取り上げる
- ○課題を自分の専門領域に引き込むよう問題提起する
- 第二部:意見提示:(30〜40%)
- イエス・ノーのどちらの立場なのかをはっきりさせる。
- 「だろうか」「たしかに」「しかし」「なぜなら」の繰り返し
- 第三部:展開:(40〜50%)
- 体験などを例にとり、理由を書く。イエスの場合は対策を書くでもよい。
- 「なぜならば」の視点
- 「〜とは、〜である」「〜には、3つある」
- 第四部:結論:(10%以下)
- もう一度全体を整理して、イエスかノーかを確認する。
- 「したがって」
3WHAT, 3W, 1H で物事を分析する
- 3WHAT
- それは何か(定義)
- 何が起こっているか(現象)
- 何がその結果起こるか(結果)
- 3W
- WHY(理由、背景)
- WHEN(いつからそうなのか、それ以前はどうだったのか)
- WHERE(どこでそうなのか、他の場所ではどうなのか)
- 1H
- HOW(どうやればいいか=対策)
- これらの視点で書く前に十分時間かけてメモを作ることが大事