発信力

発信力 頭のいい人のサバイバル術 (文春新書)

発信力 頭のいい人のサバイバル術 (文春新書)

これからの情報社会で生き残るために、受信人間から発信人間になるべきとして、その考え方、具体的な文章法について述べている。

ブログを始めて"文章"を書いてみると、あるテーマについて論理的に自分の考えを述べる、という基本的なことが全くできないということに落胆させられる。普段仕事で書くドキュメントは、要点を簡潔にまとめたもので、その多くは箇条書きになる。もちろん論理展開には気をつけるのだが、"文章"には全く違う難しさがある。

本書を読んで、自分に足りないことを列挙してみた。

  • "文章"を書くことに慣れていない(型を知らない)
  • 社会的な教養不足
  • 自分の考えがない(一般的な意見)
  • ひねりがない

そもそもブログを始める理由の1つは文章力をつけることなので、メモのポイントを参考に続けることで鍛錬していきたいと思う。私事に終始してしまったが、発信人間の重要性、心構えを知りたい人には本書はおすすめ。本書の「小論文の型」についてさらに詳しく知りたい人は補足文献がおすすめ。

メモ

発信時代を生き抜くための25の心構えとテクニック (気になったものを抜粋)

  • 人間は可塑的である
  • セルフイメージにこだわるな
  • おもてに表れないものは存在しない
    • 情報とは「他者に向かって発信することを前提をした知識のこと」
    • 「人前ではぱっとしないけど、実はすごいやつなんだ」は情報社会では意味なし
  • アピールするのは義務
  • 自分のことは棚に上げろ
    • 人を批判するとき、自分のことは棚に上げるのが原則だ。そうしないと、ほとんどの人が何も批判できない。
    • 音楽評論家、芸術批評
  • 反論するのは義務である
    • 社内で反論を出し、それに対する対処をしてこそ、外部に出すに足る括弧とした提言ができあがる。
    • どうしても反論しにくいときは、質問で
  • 面白半分の心を持て
  • 満点をめざすな
  • 真実は一つではない
    • 真実は、それを見る人の数だけある。そう考えると、発信しやすくなる。
  • 待たないで、自分でコントロールせよ
    • みんなにウケようと思うべきではない。それよりは、ある程度、対象を絞る必要がある。
  • 問題発見能力をつけよ
    • あらゆることをあたりまえだと思わず、それにノーといってみる。
  • 敢えてひねくれよ
    • ひねり具合の不足は、修練の不足、教養の不足、才能の不足だったりする。

多くの人が考えるであろうこと、そして自分が最初に思いつくこと、それは常識的な考えだ。それを「自分の考え」と思うべきではない。それは、マスコミにマインドコントロールされたり、教育されたりして、単に思い込んでいるだけの考えでしかない。<中略>
ほかの人のさまざまな考えを思い出し、それを検討して、もっと説得力のある考えはないか、もっと自分らしい考えはないかと探す必要がある。それが考えるということなのだ。

  • やれば、相手は何も言えなくなる

小論文の型

  • 第一部:問題提起:(10%)
    • 問題点を整理して、イエス・ノーを尋ねる問題提起をする。
    • テーマをはっきりと、かつ簡潔に書く。文章は最初の5行で決まる。
    • ×みんなが知っていること(当たり前のこと)を書いてしまう
    • ○賛否両論ある問題を取り上げる
    • ○課題を自分の専門領域に引き込むよう問題提起する
  • 第二部:意見提示:(30〜40%)
    • エス・ノーのどちらの立場なのかをはっきりさせる。
    • 「だろうか」「たしかに」「しかし」「なぜなら」の繰り返し
  • 第三部:展開:(40〜50%)
    • 体験などを例にとり、理由を書く。イエスの場合は対策を書くでもよい。
    • 「なぜならば」の視点
    • 「〜とは、〜である」「〜には、3つある」
  • 第四部:結論:(10%以下)
    • もう一度全体を整理して、イエスかノーかを確認する。
    • 「したがって」

3WHAT, 3W, 1H で物事を分析する

  • 3WHAT
    • それは何か(定義)
    • 何が起こっているか(現象)
    • 何がその結果起こるか(結果)
  • 3W
    • WHY(理由、背景)
    • WHEN(いつからそうなのか、それ以前はどうだったのか)
    • WHERE(どこでそうなのか、他の場所ではどうなのか)
  • 1H
    • HOW(どうやればいいか=対策)
  • これらの視点で書く前に十分時間かけてメモを作ることが大事

補足文献

樋口式「頭のいい人」の文章練習帳 (宝島社新書)
小論文の書き方に絞ってさらに豊富な添削を交え丁寧に解説している。初心者向け。