「頭のいい人」より「感じのいい人」

「頭のいい人」より「感じのいい人」―人から好かれる「笑顔の技術」

「頭のいい人」より「感じのいい人」―人から好かれる「笑顔の技術」

「笑顔コンサルタント」変わった職種があるもんです.著者は,人を笑顔にさせる仕事に就いて18年,ショッピングセンター,百貨店,ホテル,鉄道,空港…さまざまなジャンルで採用や研修に携わってきたそうです.笑顔の伝授は6万人近いとは驚きです.笑顔にもプロがいるのですね.

僕は,自慢できることではないのですが,会社では特に「感じの悪い人」になっていることが多いようです.自分でも気づいていて,以前から気をつけてはいるものの,なかなか直せずにいます.ですから,普段から感じのいい人,笑顔が素敵な人に本当に憧れます.誰とでも笑って話せる人はうらやましい限りです.この本でそんな自分を変えられるかもしれません.


さて本書では,笑顔の技術,「わりばしストレッチ」と「ハッピー体操」が紹介されています.なにやら幼稚園でやる体操みたいな幼稚な名前ですが,実際それに近いです.年取って硬くなった体と心を,子供のようにやわらかくほぐすような意味合いもあるらしいですし.具体的な方法は本書を読んでみてください.誰でも簡単にできます.実際やってみると,自分の笑顔がいかにぎこちないか,また顔の筋肉が硬いかが実感できますよ.鏡を見ながら笑顔の練習というのも普段なかなかしませんから,効果は期待できそうです.

「形から初めても心がついてくる」.これは,脳内モルヒネ(ドーパミン,βエンドルフィン)の分泌で科学的にも証明されています.しかし,だからといって,心が伴わない笑顔はやっぱり胡散臭くて逆に悪印象ですよね.というか自分も勘弁です.本書でも後半は,その心との関わりについて書かれています.そんな中から気に入ったフレーズを1つ.

笑顔は相手のためにある

この当たり前の気持ちをいつも忘れずに持ち続けること,これこそが本当の笑顔になれる秘訣なのではと思います.笑顔は技術であると同時に「形」と「心」の両輪が大事であると強調されています.帯の写真に写っている彼の笑顔は,みているこちらを自然と微笑ましい気持ちにしてくれます.

人は,幸せだから笑顔になるのではありません.笑顔だから幸せになるのです.

笑顔は受身ではなく,自分の意思で積極的にプラスの感情を表現していくもの.笑顔があると,感じがいいから人から好かれ,そして運を呼ぶというプラスの流れになることだと思います.

本書で紹介されている笑いの技術はもちろん役立つでしょうが,大事なのは自分の心の変革なのだということを,ますます実感しました.なかなかいい本をみつけたと思います.