頭のいい人が儲からない理由
- 作者: 坂本桂一
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2007/03/27
- メディア: 単行本
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問題です.以下の戦略のどこが問題なのでしょうか?
今度新規参入する商品のマーケットは五億円.まずはみんなで頑張って,初年度二千万円の売り上げを目指そう.それで勢いがつけば,五年後には打ち上げ一億円,シェア20パーセントも夢じゃないぞ.
本書は,タイトルや小見出しが少々過激ではありますが,筆者の経験に裏打ちされたまさに「リアリズムの宝庫」です.
戦略と戦術とはまったく違う.戦術の延長線上には戦略はない.
つまり,二千万円の戦術の延長に一億円の戦術はないということです.
この当たり前だからこそみんながはまる罠について,数々のPCソフト販売の実績と経験を交えて,終始一貫して説明しています.
切れ味鋭い論調が非常に爽快な,面白くためなる,そんなビジネスの実効書です.
メモ
常識はビジネスの敵
- 成功か失敗かの鍵は,なにをやるかのWHATではなく,どうやってやるかのHOWにかかっている
- 1と2の間にある成功の臨界点- 2倍努力したところで結果はせいぜい1.2倍程度と思い込んでしまう.
- ビジネスにおける2の努力の結果は,断じて1.2などではない.ビジネスの世界では,2の努力がもたらすのは5の成果だ.
- 歩が成ってと金になったといっても,しょせん将棋盤の上で威力が増しただけ.版の外の出れば,まったく違う環境が待っているのである..
暗黙の仮説
- 以下の仮説は誤り
- 最初にミニマムモデルをつくってそれを拡大していけばいい
- 値段を下げれば売れやすくなる
- 成功したければ,まじめで勤勉に働くべきだ
- 無駄を省き,未来のことを考えるのにエネルギーを集中させるために,いろいろな分野でどこまでのことがわかっているのかを確認するのが,教養の本当の意味
正しい戦略
- 戦術を積み重ねていくと自動的に戦略ができあがると考えているようだが,戦略というのはそうやって帰納的に導き出すものではない.「戦略」と「戦術」ははっきり違うのだ.戦略のミニマムモデルが戦術ではない.
- 戦略というのは,数ある仮説の中から選ばれた最善の道筋のことである.
- 「ここでノックできるかできないか,その差が人生を分ける.俺はノックできる人間にな」
- 陣取りゲーム,ネガティブオプション系のゲーム → 打ち上げが累積されていくビジネスモデル
調べるな,考えよ
- 考える=インサイドワーク.調べる=アウトサイドワーク
- ビジネスにはこれだけやれば大丈夫という試験範囲のようなものはない
- 問題の解き方を覚えるのではなく,自分で問題をつくり,なおかつ80点どころか150点,200点という周囲の度肝を抜くハイクオリティの結果を出す必要がある
- なまじ人より処理能力が高いと,自分でビジネスをやっても成功するんじゃないかと錯覚して,勇んで起業し痛い目を見てしまう
リーダーとメタリーダー(リーダーの上位:トップ)
- リーダーとメタリーダーは全く違う素養が必要
- リーダーの役割:集団をひとつの方向にぐいぐい引っ張っていく.仕事ができて,人望や判断力,決断力があり,一目置かれる存在
- メタリーダーの役割:あの人と一緒にると働きやすいと感じさせ,俺が俺がとひとりで頑張るより,他のリーダーを組んだほうが自分にとってもメリットがあると思わせること
- メタリーダーに資質があるかどうかは,その人が組織図をどうやってつくるかをみればわかる.
- リーダータイプ:まず組織図を描いてから,人を探して当てはめようとする
- メタリーダータイプ:彼にはこれができそうと,社員の能力や個性に合わせて組織を編成する