プロフェッショナル進化論
プロフェッショナル進化論 「個人シンクタンク」の時代が始まる (PHPビジネス新書)
- 作者: 田坂広志
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2007/04/19
- メディア: 新書
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これから,すべてのプロフェッショナルは,「個人シンクタンク」へと進化していく.
田坂氏の著書『これから何が起こるのか』では,インターネットとWeb2.0という2つの革命によって,「市場」「企業」「ビジネス」「商品」「マネジメント」「社会」「経済」において何が起こるかについて書かれていた.本書は,この2大革命によって,個人に何が起こるかに焦点をあてている.
メッセージはシンプル,「7つのシンクタンク力」を身につけろだ.
「7つのシンクタンク力」とは,進化するプロフェッショナルに求められる「新たな能力」「より高度な能力」のことである.そしてこの「7つのシンクタンク力」を身につけるために,「6つの戦略」を実践し,それを磨いていけと説いている.なによりも読者にとってうれしいのは,「6つの戦略」はさらに細分化され,3〜5つのものすごく実践的なスキームにまで落とし込まれて,書かれていることだ.
たとえば,スキームの1つに『「師匠」のサイトを見出し「私淑」する』というのがある.師匠の仕事から智恵を掴み取るということだが,それをさらに掘り下げて,「発想」「語り」「活動」の3つの学びが大切であるとし,表面的なものではなく,その奥にある「哲学」「思想」「人生観」こそを学び取るべしと説いている.もちろん具体例も豊富だ.
本書のタイトルには,最近のはやり言葉への便乗感が否めず賛同しかねるが,内容は逆だ.いやむしろ,僕がこのブログを書くきっかけになった危機感,書いている内容に直結するものであり,そういったもやもや感をスバッと整理でき,改めて自己変革(innovation)への意識を強めることができた.このブログを見てくれている方とは共有認識にしたい本だと思う.
自分は,仕事において,何に「こだわって」いるか.
自分は,仕事の根底に,いかなる「思想」を抱いているか.
「思想」とは,「他者から学び取る」ものではない.
「思想」とは,「自己の内に見出す」ものである.
メモ
6つの戦略
- 「コンセプト・ベース」の戦略 : インターネットを自分の「知的創造の場」にする
- 「パーソナル・メディア」の戦略 : 良き影響力を持つ「自分だけのメディア」を育てる
- 個人シンクタンク
- 「プロフェッショナル・フィールド」の戦略 : 自分の「経験の智恵」を語れる専門分野を定める
- 知識と智恵
- 「アドバイザリー・コミュニティ」の戦略 : 人々の智恵が集まる「コミュニティ」を創り出す
- 「Give and Given」の精神.「まず与えよ,されば与えられることもあるだろう」
- メンバーの間に「共感を生み出そう」と思うのではなく,まず自ら,「メンバーに,深く共感する」
- 「ムーブメント・プロジェクト」の戦略 : 人々の行動を集めて「ムーブメント」を創り出す
- 「パーソナリティ・メッセージ」の戦略 : 自分の「パーソナリティ」を発信する
「下段者には,上段者の力がわからない」
これは,ほんとうに恐ろしいことだ.
「経験の浅い人間」や「体験の無い人間」は,含蓄のある体験談やエピソードを聞いても,それと共鳴するべき豊かな経験や体験を持たないがゆえに,その体験談やエピソードを,ただ頭で理解し,「何だ,それだけのことか」「当たり前の話ではないか」「何も学ぶことのない話だ」といった反応をすることが多い.