アート・オブ・プロジェクトマネジメント(6)
アート・オブ・プロジェクトマネジメント ―マイクロソフトで培われた実践手法 (THEORY/IN/PRACTICE)
- 作者: Scott Berkun,村上雅章
- 出版社/メーカー: オライリー・ジャパン
- 発売日: 2006/09/07
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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6章 アイデアを得た後にすること
アイデアのマネジメント
アイデアを適切にマネジメントするには,決断力を発揮するだけではなく,その決断が突然のものとならないよう地ならしをしておく必要があると述べています.作業の性質や注力すべき点の変化は,「照明の調光スイッチ」を使うように,徐々に行われるべきということです.
図のように,問題空間において拡散と収束という作業の性質が,ある時点で変わるということを前もってメンバーに提示しておくべきだということです.
ところが,実際にはこのようなきれいな菱形になることは少なく,下図のように仕様書完成予定日の時点では完全に収束しないのは,経験上よくわかります.
本書ではその理由として以下をあげています.
- 新たな情報が利用可能になる
- エンジニアの計画が明らかになると,作業の大まかな見積りが変更になる
- 複数の問題を解決するために導入した複数の解決策によって,作業内容に矛盾が生じる
- 変更によって連鎖反応が引き起こされる
- 創造的な作業には勢いがある
アイデアマネジメントにおける6のチェックポイント
そこで,アイデアをマネジメントする最善の方法として,設計前に6つのチェックポイント(マイルストーン)を明確化しておきなさいと述べています.
- ビジョンとコンセプトの証明
- アイデア分類/一覧の作成
- 3つの設計選択肢
- 2つの設計選択肢
- 1の設計
- 仕様書作成
重要なのは,チェックポイントがプロセスの制御のためだけにあるのではないことです.チームが共有できる指針をもてるようになり,何らかの変更が発生した場合でも,今起こっていることとその理由を議論できる枠組みをもてるようになるのです.
この枠組みを”イメージ”としてメンバー間で共有することは,本当に重要だと思います.あえて,ここでこの図を書いたのも,そういう意図があるからです.こういった簡単なイメージを提示(ホワイトボードでも可)して,「今僕らはココにいるんだよね,来週にはココにいるべきだよね」と図を指すだけで,チームにとって大きな効果があります.
アイデアのまとめ方
多くのアイデアが出された後でそれを検証する際に,アフィニティダイアグラム(川喜田二郎氏が考案したKJ法で使用するダイアグラム)を使うことを薦めています.簡単に説明すると,それぞれのアイデアをポストイットに書き,それをホワイトボードに全て貼り,グループに分類していくやりかたです.
こういった,みんなの意見をまとめていく際に,図やホワイトボードは強力な武器になります.実例が豊富な「板書屋 ファシリテーション・グラフィック」というサイトはとても参考になります.
(板書屋 ファシリテーション・グラフィックより)
また『ファシリテーション・グラフィック―議論を「見える化」する技法 (ファシリテーション・スキルズ)』という本に多くのテクニックが紹介されており,非常にオススメです.
参考文献
- 思考を構造化するためのさまざまなツール http://www.ms.lt/ms/projects/toolkinds/organize.html
- 「コンピュータは,むずかしすぎて使えない」