メディア・コンバージェンス2007

メディア・コンバージェンス2007

メディア・コンバージェンス2007

本書は,コンテンツ,ネットワーク,端末を包括して「情報ネットワーク産業」と総称し,特定の業界に焦点を絞るのではなく,「情報ネットワーク産業」全体の動向についてまとめたものである.(ネットワークは,インターネットのみならず,放送,通信といったものも含む)

さまざまな調査機関/公的機関の情報,データ,白書を掲載し,過去から現在までの「情報ネットワーク産業」の動向を詳細に説明,分析している.執筆/編集は,株式会社情報通信総合研究所

コンバージェンス(convergence) とは,コンテンツ,ネットワーク,端末などの融合や連携を意味し,これには横(水平)と縦(垂直)の方向がある.横とは,コンテンツ内の融合=マルチユース(地上波テレビの2次利用等)の事や,ネットワークではいわゆる通信と放送の融合,端末ならば情報家電の標準規格などのことを指す,縦とは,iPodのような機器とソフトとサービスの連携のことを指す.

目次をみるとわかるように,インターネットと携帯電話による情報ネットワーク産業の構造(アーキテクチャ)の変化,ユーザー端末の多様化/ユビキタス化,が主なテーマだ.なかでも,やはりポイントは動画と携帯電話.これらのメディア・コンバージェンスが未来を予測する上で最も重要になってくるのはまちがいない.

目次
第1章:情報ネットワーク産業の現状
第2章:映像とデジタルコンテンツ----情報流通におけるインターネット革命
第3章:モバイル・インパクト----進むユビキタス情報革命
第4章:消費者の情報接触と端末の多様化----ユーザー視点からの変化
第5章:ネットワークの未来----情報革命を支えるIPインフラストラクチャー
第6章:コンテンツ産業のさらなる成長----カギとなるエコシステムの形成
終章:マクロの視点----情報革命下の経済成長と情報ネットワーク産業

本書は,インターネット,放送,通信,携帯,パソコン…,またそこで扱われるコンテンツといった,「情報ネットワーク産業」という複数の産業の動向を同時に俯瞰するためのレファレンス本としては非常に役に立つ.ただし,技術的な事はほとんど書かれていないので,当該産業の専門家にとってはこれでは物足りないだろう.蛇足だが,読み物としてはお世辞にも面白いとは言いがたい本である.

キーワード : GyaOYouTubeiPodNGN,IPTV