組織の現場力を高める 問題解決メソッド

組織の現場力を高める問題解決メソッド

組織の現場力を高める問題解決メソッド

タイトルの”組織の現場力”とはなにを意味するのか?

トップから末端の社員にいたるまで,大小の問題を各々の組織で解決する習慣が風土として定着している.これがいわゆる「現場力」であると考える.

問題解決のスキルは個人で身につけられるものかもしれないが,問題の解決は組織が一丸となって行動して初めて達成されるということ.だから単に「問題解決力」だけではなく,関係者を巻き込んで完遂する「協働誘発力」と,問題解決を組織で継続できる「組織管理力」の3つ要素が不可欠であると述べている.

  • 問題解決力
  • 協働誘発力
  • 組織管理力

トップ,マネジメント,リーダー,メンバ,組織のレイヤで扱う問題は当然異なってくる.主な違いは,時間軸や問題領域.本書では,組織の問題を,3つに分類し解決方法を説明している.

  • 発生型問題 : 現在 : マニュアル/ルールと作業のGap
  • 課題設定型問題 : 〜5年後 : そのままでは問題化,改善
  • 構想設定型問題 : 5年〜10年 : ありたい姿,ビジョン

問題解決のすすめ方については,かなり細かいレベルまで体系的にまとめられている.問題解決の初心者にとって,これだけ丁寧な説明はかなり有用だと思う.とはいっても基礎は基礎.実際はこれらの手法を元に現場に合わせて応用,改善していく必要がある.

問題解決の本であまり語られないのが,協働誘発力と組織管理力ではないかと思う.特に協働誘発力は解決策の実行ではとても大事.本書では,リーダシップ,モチベーション,コミュニケーションの3つの視点からこれを説明している.ポイントは,「メンバーをなるべく早期(遅くとも改善案の立案)から巻き込む」ことで,自律的に彼らが動き出すしかけづくり.

本書は,経験の浅い中間管理職/プロジェクトマネージャに最適だと思う.こういった人の仕事はすべて,広義の問題解決だから.