ソフトウェア開発で伸びる人、伸びない人

ソフトウェア開発 で伸びる人、伸びない人 (技評SE新書002)

ソフトウェア開発 で伸びる人、伸びない人 (技評SE新書002)

この本の内容は,「Software People」で読みましたが,そのときの衝撃はいまでも忘れられません.なにしろ自分が,伸びない人,幸せになれない人に完全にマッチングしていたからです.若手エンジニアは絶対に読むべき本です.中堅になってからでは遅すぎます.だけど,本当に読むべき人は,そもそもこの手の本は自分からは読まないんだよね.

概要

現場の素朴な疑問

  • 「あの人は,技術力はないけれど,扱いやすい人だ」.という理由のみで良い(そこそこの)評価を受けられる期間は長くはない.
  • 「学歴はいいし,成績も優秀,だけど…」.偏差値エリートが,優れたエンジニアであるとは限らない.
  • 「これは常識だよね」.井の中の蛙は,「頭が固いから言っても無駄」と評され,化石の技術者になる.
  • 「技術力はあるとは思うんだけど…」.「オタク」がNGなのではなく,コミュニケーションに問題があるのではNG.
  • 「あなたはソフトウェア開発のプロでしょう?」

伸びない素養をつくる原因

プライド

  • 「わかりませんと言えますか?」伸びる人ほど,「わかりません」と反応する.
  • 「難しい」といって放棄していませんか?プライドの高い中堅技術者は,「わかりません」ではなく「難しいね」という.「難しい」とは問題に正面から取り組むことから逃げている証拠.
  • 「ソフトウェア開発者35歳定年説」.実務実績いよるプライド形成に約10年.その実績と自負によって,自分に基礎技術が足りないという事実を信じることができない.
  • 説明する機会を避けていませんか?
  • 「他人にどう思われるか」ではなく「理想の自分にどう思われるか」という良いプライドをもつ.

解決策編重

  • 「その技術の目的を押さえているかどうか」.ある要素技術を知ったときに,「技術」そのものの前に「何のためのものか」を捉えようとすることが大事.

正解は1つ主義

  • 「正しい設計」というものはない.「より良い設計」と「間違った設計」があるだけ.

受け身

  • 企業にとっては扱いやすいともいえるが,年月を経ると困った技術者になる.自分が経験した範囲の技術しか知らないということになるからだ.

階級闘争

伸びる人の共通スキル:Personal Architecture

言語スキル

  • 国語力,英語力,抽象概念,論理的思考,文書作成スキル

目的指向

  1. 目的は何か?
  2. 作るものは何か?
  3. どうやってつくるのか?

構想力

  • 機能と処理で捉えていくのではなく,システム構造,つまりアーキテクチャから把握/設計する.

日々の習慣

  • 継続的な読書.現在の業務に関わるものに限らない.「あなたは一年間に何冊の本を読んでいますか?」
  • 好奇心

人との接し方

  • コミュニケーション.「話す」のみならず「聞き上手」「質問上手」.
  • 協調して仕事する.

美的センス

  • 美しい構造を持ったソフトウェアは,保守性,拡張性に優れている.美的センスはこだわりでもある.

プロ意識

  • 「自分が対価に見合った仕事をしているか」
  • 「自分はプロとして何ができるのだろうか」

これからのソフトウェア技術者

専門性

  • アーキテクト,アナリスト,設計者,プログラマ,プロジェクトマネージャ,これらそれぞれの専門分野だけを知っているのでは不足である.

技術はできて当たり前の管理職

  • 技術力がないと,プロジェクトで起きている問題の把握ができないため,どの技術者をアサインしたらよいかも判断できない.問題に対しても的外れな対処をする可能性がある.
  • 技術力がないと,作業ひとつひとつの工数見積りまたは妥当性判断ができない.
  • 技術スキルの向上を怠っていると,管理スキルそのものが低下していく.

幸せになれない人

会社依存症

  • 「仕事に行く」ではなく「会社にいく」人は大抵,受動的.
  • 上司に気に入られたがる人

課題待ち症候群

  • 言われたことだけやる人.仕事を単なる作業ととらえており,開発ととらえていない.
  • 学生気分の人.生徒は顧客,社員は人材.
  • 仕事のせいにする人
  • とにかくやればいいと考えている人.作業を「やったか,やらなかったか」,開発が「できたか,できなかったか」.「やりました」と「できました」は違う.

減点主義

  • 表面だけ取り繕う人.「計画通りでないことが悪い」のではなく「計画通りでないことを報告しないことが悪い」
  • わざと曖昧な仕様書を書く人.悪いのは,「未定事項があること」ではなく「未定事項が未定とわからないこと」

過剰期待

ネガティブ思考

  • できない理由を羅列する人

幸せになれる人

会社,仕事,自分をそれぞれ別の実体と考える人

  • 自分で工夫する余地
  • 「会社はつまらないけど,仕事は楽しい」
  • 滅私奉公は時代遅れ.会社との関係を「仕事の契約関係」ととらえる.「なんでもできます」は「なんにもできません」と同意.
  • ストレスに強くなる

問題と人を分けて考える人

  • 仕事の相性と人間の相性は別
  • プロダクトに対する客観性を持つ
  • 表と裏,本音と建前?

しつこく考える人

  • 最適解を得るには.最低3つの案を考えろ.
  • 手段と目的を区別する

他人への期待を明らかにする人

  • 対人ストレスNo.1.暗黙の期待をしない.「言わなくてもわかると思った」
  • 期待値を下げてもだめな場合.使わない.誰でもできる仕事を与える.特別メニューで育成する.

肯定形の言葉を使う人

  • 思考は言葉に表れる
  • わかりやすい言葉を使う

業界における自分の位置を知る人

  • 評価は時価.「自分の市場価値はどのくらいだろう?」1年に1回は評価する.
  • ネットワークを広げる
参考文献
  • 日本語練習帳
  • 論理トレーニン
  • 理科系の作文技術
  • ライト,ついてますか
  • 要求仕様の探求学
  • ソフトウェア要求管理
  • 7つの習慣
  • ビジネスシンク
  • スーパーエンジニアへの道
  • 達人プログラマー
  • ソフトウェア職人気質