ソフトウェア開発で伸びる人、伸びない人
ソフトウェア開発 で伸びる人、伸びない人 (技評SE新書002)
- 作者: 荒井玲子
- 出版社/メーカー: 技術評論社
- 発売日: 2006/01/19
- メディア: 新書
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この本の内容は,「Software People」で読みましたが,そのときの衝撃はいまでも忘れられません.なにしろ自分が,伸びない人,幸せになれない人に完全にマッチングしていたからです.若手エンジニアは絶対に読むべき本です.中堅になってからでは遅すぎます.だけど,本当に読むべき人は,そもそもこの手の本は自分からは読まないんだよね.
概要
現場の素朴な疑問
- 「あの人は,技術力はないけれど,扱いやすい人だ」.という理由のみで良い(そこそこの)評価を受けられる期間は長くはない.
- 「学歴はいいし,成績も優秀,だけど…」.偏差値エリートが,優れたエンジニアであるとは限らない.
- 「これは常識だよね」.井の中の蛙は,「頭が固いから言っても無駄」と評され,化石の技術者になる.
- 「技術力はあるとは思うんだけど…」.「オタク」がNGなのではなく,コミュニケーションに問題があるのではNG.
- 「あなたはソフトウェア開発のプロでしょう?」
伸びない素養をつくる原因
プライド
- 「わかりませんと言えますか?」伸びる人ほど,「わかりません」と反応する.
- 「難しい」といって放棄していませんか?プライドの高い中堅技術者は,「わかりません」ではなく「難しいね」という.「難しい」とは問題に正面から取り組むことから逃げている証拠.
- 「ソフトウェア開発者35歳定年説」.実務実績いよるプライド形成に約10年.その実績と自負によって,自分に基礎技術が足りないという事実を信じることができない.
- 説明する機会を避けていませんか?
- 「他人にどう思われるか」ではなく「理想の自分にどう思われるか」という良いプライドをもつ.
解決策編重
- 「その技術の目的を押さえているかどうか」.ある要素技術を知ったときに,「技術」そのものの前に「何のためのものか」を捉えようとすることが大事.
正解は1つ主義
- 「正しい設計」というものはない.「より良い設計」と「間違った設計」があるだけ.
受け身
- 企業にとっては扱いやすいともいえるが,年月を経ると困った技術者になる.自分が経験した範囲の技術しか知らないということになるからだ.
伸びる人の共通スキル:Personal Architecture
言語スキル
- 国語力,英語力,抽象概念,論理的思考,文書作成スキル
目的指向
- 目的は何か?
- 作るものは何か?
- どうやってつくるのか?
構想力
- 機能と処理で捉えていくのではなく,システム構造,つまりアーキテクチャから把握/設計する.
日々の習慣
- 継続的な読書.現在の業務に関わるものに限らない.「あなたは一年間に何冊の本を読んでいますか?」
- 好奇心
人との接し方
- コミュニケーション.「話す」のみならず「聞き上手」「質問上手」.
- 協調して仕事する.
美的センス
- 美しい構造を持ったソフトウェアは,保守性,拡張性に優れている.美的センスはこだわりでもある.
プロ意識
- 「自分が対価に見合った仕事をしているか」
- 「自分はプロとして何ができるのだろうか」
これからのソフトウェア技術者
専門性
- アーキテクト,アナリスト,設計者,プログラマ,プロジェクトマネージャ,これらそれぞれの専門分野だけを知っているのでは不足である.
技術はできて当たり前の管理職
幸せになれない人
会社依存症
- 「仕事に行く」ではなく「会社にいく」人は大抵,受動的.
- 上司に気に入られたがる人
課題待ち症候群
- 言われたことだけやる人.仕事を単なる作業ととらえており,開発ととらえていない.
- 学生気分の人.生徒は顧客,社員は人材.
- 仕事のせいにする人
- とにかくやればいいと考えている人.作業を「やったか,やらなかったか」,開発が「できたか,できなかったか」.「やりました」と「できました」は違う.
減点主義
- 表面だけ取り繕う人.「計画通りでないことが悪い」のではなく「計画通りでないことを報告しないことが悪い」
- わざと曖昧な仕様書を書く人.悪いのは,「未定事項があること」ではなく「未定事項が未定とわからないこと」
過剰期待
ネガティブ思考
- できない理由を羅列する人
幸せになれる人
会社,仕事,自分をそれぞれ別の実体と考える人
- 自分で工夫する余地
- 「会社はつまらないけど,仕事は楽しい」
- 滅私奉公は時代遅れ.会社との関係を「仕事の契約関係」ととらえる.「なんでもできます」は「なんにもできません」と同意.
- ストレスに強くなる
問題と人を分けて考える人
- 仕事の相性と人間の相性は別
- プロダクトに対する客観性を持つ
- 表と裏,本音と建前?
しつこく考える人
- 最適解を得るには.最低3つの案を考えろ.
- 手段と目的を区別する
他人への期待を明らかにする人
- 対人ストレスNo.1.暗黙の期待をしない.「言わなくてもわかると思った」
- 期待値を下げてもだめな場合.使わない.誰でもできる仕事を与える.特別メニューで育成する.
肯定形の言葉を使う人
- 思考は言葉に表れる
- わかりやすい言葉を使う