どこまで相手の立場で考えられるか

わかりやすく説明するのは難しい.

プロジェクトを進めていく上でも,多くの人に説明(プレゼン)をしなければならない場面は多く,人が多ければ多いほど難しく,そして重要になってくる.

なんで人が多いと難しいのか.簡単に言えば,その説明に対する前提,知識,背景,視点,利害がそれぞれ違うからだ.脳の構造(整理棚のつくり)が違うからだともいえる.

最近,とあるプレゼン資料の見たときに頭がはてな(?)だらけになった.

  • 立ち位置がわからない
    • 文章の構造化ができていない.(粒度がバラバラなど)
    • 概要→詳細に流れていない
    • 立体的(深さ,時間軸,位置,道すじなど)に捉えられると分かりやすいんだけど
  • 一番いいたいことがわからない
    • ポイントがぼやける
    • 優先順位があいまい
    • 一文が長い
    • 目的ではなく手段を一生懸命説明するとだいたいこうなる
  • 論理が通っていない
    • 矛盾していたり,脱線している
    • 論理武装があまい
  • 根拠がたりない
    • 考えが浅い(相手より深く読んでおく)
    • なぜそれが問題なのか?
    • なぜその解決方法/手段なのか?
    • なぜその期間/工数なのか?
  • 前提/背景を無視している

どうすればいいか?

超簡単.

どこまで相手の立場で考えられるか.

これに尽きる.


とはいっても,これだけでは答えになってないので,今日はプレゼンが苦手な人に,最強のバイブルを紹介しておこう.『「分かりやすい説明」の技術』の本だけあって,文句なしに分かりやすい.超オススメ.

15のチェックポイント

  1. タイムラグの存在を知れ
    • 聞き手が脳内整理棚を準備中はゆっくり話すなどして待て
    • 聞き手の脳内整理棚がいつ準備完了するか注視せよ
    • 聞き手の脳内整理棚の準備が完了してから情報を送れ
  2. タイムラグを短縮せよ
    • 概要を先に与えよ
    • 聞き手の脳内整理棚選定作業を詳細情報で妨害するな
  3. 「間」を置きながら,しみ入るように話せ
    • 意味別の区切りごとに小休止を取れ
    • キーポイントを話した直後に小休止を取れ
    • 複雑な概念を話すときは小休止を多用せよ
  4. 具体性を抽象性のバランスを取れ
    • 意識して範囲指定せよ
    • 範囲を憶測させる具体例を挙げよ
    • 大分類名ではなく,小分類名で語れ
    • 全体説明と部分説明との間を適宜,行き来せよ
  5. 説明もれに気づけ
    • 三者に事前にチェックしてもらえ
    • 聞き手の立場を想像せよ
  6. 情報構造を浮かび上がらせよ
    • 重複,ムダを整理せよ
    • 大項目,小項目の関係を明示せよ
    • 対比関係,同列関係を明示せよ
    • キーポイントを添えよ
  7. キーワードを使え
  8. 論理的な主張をせよ
    • 主張の裏付けを用意せよ
    • 承認ずみの主張は「新しい裏付け」として再利用せよ
    • 分かりやすさの障害となる非論理的な弱点部分は隠せ
  9. 聞き手が知っている事例にたとえよ
    • 格言,ころわざを普段から仕入れよ
  10. 聞き手の注意を操作せよ
    • 要点を話す前に「問いかけ」で注視させよ
    • 「まとめ言葉」で聞き手の整理を助けよ
  11. 聞き手を引率せよ
    • 常に聞き手に展望を与えよ
    • 聞き手が落伍していないか気配りせよ
  12. 繰り返しの劣化に注意せよ
    • 聞き返されたら要注意
    • 聞き手は「今日,初めて聞く」ことを忘れるな
    • 「伝える」気持ちを取り戻せ
  13. 待ち時間を守れ
    • 要約力をみがけ
    • 説明内容の要点を大,中,小の見出しに整理しておけ
  14. 聞き手に合う説明をせよ
    • 聞き手の持っている前提知識を知ってから説明せよ
    • 説明内容を事前に正しく知らせよ
    • 聞き手に,必要な前提知識を事前に正しく示せ
  15. 聞き手を逃すな
    • 聞き手の不快感を解消せよ