アート・オブ・プロジェクトマネジメント(10)

アート・オブ・プロジェクトマネジメント ―マイクロソフトで培われた実践手法 (THEORY/IN/PRACTICE)

アート・オブ・プロジェクトマネジメント ―マイクロソフトで培われた実践手法 (THEORY/IN/PRACTICE)


10章 メンバーの邪魔をしない方法

人々が不快になる5つの理由

  1. ~は私のことを無能だと思っている
  2. ~は私を信頼していない
  3. ~は私の時間を浪費させる
  4. ~は私に対して敬意を払わずマネジメントを行う
  5. ~は私に馬鹿げたことを聞かせたり,読ませたりする

これらは,人々が作業プロセスを毛嫌いする理由にもなっています.

プロセスは,ルール,ガイドライン,フォーム,手続き,制約といったさまざまな名前で呼ばれており,正しい目標を念頭に置いている限り,関係者全員に利益をもたらすものとなると説明しています.

優れたプロセス

プロセスの存在意義や解決すべき問題が検討されず,漫然とプロセスを実施しているだけで,そのメリットを享受できていないという場合が少なくないと指摘しています.

問題の原因
  • 権限を持っている人が問題の原因 : プロセスが馬鹿げていたにも関わらず,チームの努力によってプロジェクトが成功したという事実から目を背け,その馬鹿げたプロセスこそが成功の原因であるとする
  • 以前使ってうまくいったから,今回も使う

しかし,たいていの場合は,プロセスというものが人の作業方法と人同士のやり取りを体系付けるもの,つまり非常に有機的なものであることが原因となっていると述べています.

優れたプロセスを生み出す秘訣は,以下の2つを組み合わせて考えることです.つまり,2つが交わる部分を見つけ出すことが優れたプロセスにつながるということです.

  • 一般的にチームを効率化させること (一般的な性質)
  • このチーム/プロジェクトをひと味違ったものにすること (このプロジェクト独特の性質)
優れたプロセスの持つ効果・属性
  • 進捗を加速させることができる
  • 問題を避けることができる
  • 重要な作業の可視化,測定が可能となる
  • プロセスの変更,除去を行うためのプロセスが提供される
  • プロセスによって影響を受ける人がそのプロセスを支持するようになる

僕が重要だと思うのは,最後の項目です.なるべくメンバー自身がやる気を出すようなプロセスをつくるのがベストです.その秘訣は,プロセスの構想からメンバーを巻き込んでおくことです.さらに,メンバーにさまざまなアイデアを出してもらい,それをなるべく均等に採用したプロセスを作り上げていくことです.

下層から行うプロセスのマネジメント

あなたより強い権力を持った人たちが,納得できないプロセスを強要してきた場合の,対処法です.

  1. そのプロセスからチームを守る
  2. そのプロセスに対して反旗を翻す
  3. そのプロセスを無視する

僕が使う順番は,まず3.無視します.意味のないプロセスについては,その後進捗など聞かれない場合が多いので大抵これで一件落着となります.もし聞かれた場合は,1.メンバーの手を煩わせないように,自分で適当に報告します.その報告で納得されない場合は,2.納得いくまで「なぜ必要なのか?」「本当に必要なのか?」ということに関して議論します.本当はこんなもっとも無駄な労力は使いたくないのですが…

参考文献

  • 「The Facilitator's Fieldbook」
  • 「Mining Group Gold」