「掛け算チーム」 6つのレシピ

チームは,管理するための単位ではない

PM(チームをつくる)側の論理としてよくあるのは,人数が多すぎて管理できないから,チームに分けて管理してもらおうとか,レイヤー毎/機能毎にチーム分けしておこう,などというものである.これがいけないと言っているのではないけど,管理するためのチームなら,それはチームじゃなくてもいい.単なるグループだ.

では,何がチームなのかというと,「掛け算的なパフォーマンスを生み出す集団」がチームなんだと思う.

チームの進化 : 引き算 → 足し算 → 掛け算

新規メンバーでチームを作ると,たいてい引き算チームから始まり,やがて足し算チームになり,最後には掛け算チームへと進化していく.引き算・足し算・掛け算とは,人数に対するパフォーマンス度合いのこと.10人のチームが10人分のパフォーマンスを出すのが,足し算チームという意味.

それぞれのチームにみられる特徴を書き出してみた.

引き算チーム
  • 言われたことすら,なかなか始めない
  • やり方など,文句ばかり言う
  • チームメンバー間の会話がない
  • Mtgが暗く,意見がでない
  • 非生産的な言い争いが多い
足し算チーム
  • 各々のやることはしっかりやっている
  • 足は引っ張らないようにがんばる
  • 情報共有はできている
  • Mtgで活発にいろいろな意見がでるが,収拾がつかない
  • 口頭でのコミュニケーションができている
  • チームのゴールは理解している
掛け算チーム
  • 改善・提案が次々と自発的に行われる
  • メンバー同士の積極的な助け合いがある
  • よい意味での競争関係にある
  • Mtgでいろいろな意見がでるが,まとめようとする
  • メールやWeb,口頭とさまざまなコミュニケーションができている
  • 笑顔がみられる
  • プロジェクトのゴールを理解している

6つのレシピ

じゃあ,掛け算チームにうまく育てるためにリーダーはどうすればいいのだろう.

bold;">1. 自分に原因はないか考える:これとっても大事.まず問題の半分以上はリーダーが原因であることが多い.まずは自分の胸に手を当てよう.
bold;">2. ひとりひとりのメンバーをよく観察すること:何を知らないのか,わかっていないことは何なのか,何に気づいていないのか.そして,何に困っていて,何に不満をもっているのか.とにかくよくメンバーを観察し,彼らの話を聴こう.
bold;">3. 「なぜ?」を繰り返し探る:不満や問題はわかった.でもなんでそれを言い出せないのだろう?もしくは言おうとすら思わないのだろう?また,会話できてないのはなぜか?もしかしたらそういう雰囲気を自らつくっていないか?などと自問してみよう.
bold;">4. 「どうすれば?」を繰り返し探る:言い出せない理由などがわかったら,どうすればみんなが話しやすくなるかあれこれ考えよう.最低3つの案は考えること.最初の案はたいてい最悪だ.
bold;">5. こまめに根気よくそして何気なく,その隙間を埋めていく:一番大事なのが,実際に行動するとき何気なくやるということだ.リーダーは主役じゃない.だから,俺がこうやってチームを改革する,じゃあダメだ.メンバー自らがそう思え行動できるような施策を講じること,これがポイント.
bold;">6. チームの文化をつくるのはリーダーの責任:とはいっても,そのチームの文化をつくりあげる責任はやっぱりリーダーにある.このジレンマはリーダーをやってみないとわからないのが辛いとこ.


最後に,僕がいつも念頭に置いているのは,信頼尊重.メンバー同士の信頼,メンバーとリーダーの信頼,メンバーへの尊重.とにかく,よくわからなくなったら,ここに立ち返って考えるといいと思う.そうすれば,きっとよいチーム(=掛け算的チーム)ができてくるはず.