TVメディア,日米間の隔たり
IT+ - TV局公認!ロケフリ+YouTube的な番組共有サービスの衝撃
このニュース2007年3月のものだが,こんなことが米国では既に始まっているのかと改めて思った.何が衝撃なのかというと,「YouTubeとロケフリをミックスしたようなサービス」をテレビ局(CBS)が自ら行う,ということだ.
記事を執筆した江口氏はこう分析する.
私はこれを非常に重要な例だと考えている。どこでもテレビというニーズをつかんでいるだけでなく、番組を「みんなで弄る」ことでさらに大きな話題を集めようとする。そこには違法という発想がそもそも存在しない。なによりテレビ局が自ら主導している点が日本とは大きく異なる。
そして,日本での可能性についてこう述べている.
Clip+Slingは技術に決定的な革新性があるわけではなく、日本のテレビ局でも同様なことは国内のベンチャーと組んでもできることだ。いつものことであるが、まだまだ困っていないテレビ局、特にキー局からはこうした動きはなかなか出てこない。あるとすればローカル局やCS局やケーブルテレビではないだろうか。SlingBoxのような機能がSTBやHDDレコーダーにあらかじめ内蔵されてくると面白い動きになりそうだ。
実は,米国では既にこういった機能をもったSTBなどあったりするのでは?とちょっと思った.今度調べてみるか.
実は,この「Clip and Sling」というサービスは,『ソーシャル・ウェブ入門』という本を読んで知った.この本は,Web2.0やGoogleについて説明しつつ,ソーシャル・ウェブ全般について書かれている.内容は,はてなユーザーならばほとんど周知の事ばかりだと思う.そんな中で僕がもっとも興味を引かれたのが,動画共有についてだったのだが,その中の1つとして「Clip and Sling」について書かれていたわけである.
著者滑川氏は,著書の中でこの「Clip and Sling」を例に出し,テレビというメディアの今後について少しだけ述べている.そこでは,日本のメディアの現状をこう批判している.
一方でわが国のテレビ業界は広告代理店の意向,総務省の意向,スポンサーの意向,芸能プロダクションの意向,系列企業の意向,など本質以外の事情で自分をがんじがらめに縛りあげ(意地悪く見れば,これらによって手厚く保護されて,既得権の上にあぐらをかいていることも言える),「オーディエンスが望むコンテンツをオーディエンスが望む形で媒介する」という肝心の本質を忘れていないだろうか?
そして,このままでは技術の進歩とユーザーを2つとも敵に回した音楽業界の二の舞だとも述べている.
メディア業界の米国と日本のこの違いは,ものすごく奇妙で,しかし全うに思えるから不思議だ.日本のこういったエスタブリッシュメントが自ら動くはずはないが,米国でこういったサービスがブレイクすれば黙っていられなくなるかもしれないと思う.米国に遅れてこういったサービスが始まるだろうことは容易に想像できるので,そのための準備は個人的には何かやっておこうと感じた.
ソーシャル・ウェブ入門 Google, mixi, ブログ・・・新しいWeb世界の歩き方
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