頭がいい上司の話し方 / 樋口裕一
- 作者: 樋口裕一
- 出版社/メーカー: 祥伝社
- 発売日: 2007/08/01
- メディア: 新書
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やっぱり,樋口氏の本はわかりやすく,痛快です.
内容は,頭がいい上司の話し方,頭が悪い上司の話し方,経営者になりたい人の話し方,の3つ.
最もおもしろかったのは,『若者とは,「理解し合えない」ことを前提につき合う』のとこ.若者は,学生時代の仲間や遊び仲間,趣味の仲間,ミクシィなど仕事以外の小さなネットワーク(これらをタコ壺と筆者は呼んでいる)をいくつも持っている.それぞれのタコ壺のなかで,その中だけで通じる言葉をやり取りし,別々の人格を持ったりしている.会社もそんなタコ壺の1つに過ぎない.
しかし,上司のほうは,会社という巨大なネットワークしか持たず,しかもそこに全人格を投入している.
これほど価値観が違えば,上司と若者のコミュニケーションがうまくいくはずがない.では,上司はどうすればいいのか?
別々のタコ壺で暮らしている者同士が一緒に仕事をするためには,「成果を上げる」という共通の目的と,「論理」という共通のツールだけがあれば十分だ.人生観や価値観を共有する必要は,まったくない.
とかなり過激な主張.でもこれ,一理あると思いませんか?
僕の周りにも,結構います.ニュータイプ*1.ニュータイプはニュータイプとして接するのがポイントで,人生観や価値観を押し付けてもさらさら無駄ですね.彼らニュータイプを「こいつはおもしろい!」と思えれば勝ちです*2.
まあこんな感じで話し方にとどまらず,リーダーシップ論としてもかなりおもしろく読めます.
メモ
- イヤな部下を面白がるようになったら一人前
- 自分が上司になったとたん,どういうわけかすべての部下に好かれたいと考えてしまう.そんなことは絶対にありえない.
- 仕事は,自分が関わる人的ネットワークの「ワンノブゼム」
- 仕事は全人格を投入してやるものではないから,会社ではお互いに,「ゲームで与えられた役割」をまっとうすればよい
- 若者とは,「理解し合えない」ことを前提につき合う
- 上司としては,若い社員にとって会社は全人格を捧げるネットワークではなく,いくつかある「タコ壺」のひとつにすぎないということを理解しなければならない.(上司世代は,終身雇用で全人格を仕事へだった)
- 別々のタコ壺で暮らしている者同士が一緒に仕事をするためには,「成果を上げる」という共通の目的と,「論理」という共通のツールだけがあれば十分だ.人生観や価値観を共有する必要は,まったくない.
- 叱ると怒るは違う
- 気持ちで叱るのではなく,テクニックで叱ることを心がける.
- いろいろな叱り方から,今回はコレと選ぶぐらいの余裕をもつ
- 八つ当たりは,相手に対する「甘え」
- 説教は3分,自慢は1分
- 「オレは聞いてない」,はたまた「少しは自分で考えろ」と怒る上司は,メンツにこだわる人間がそうなりやすい
- 「相談する/しない」に関する指示が一貫しないのは,権限委譲がうまくできていないから
- 管理職は,オーケストラの指揮者と同じ
- 部下との関係と同様,経営者との関係も一種のゲームのようなもの
- 出世のためには,「気に入られる」ことが大事だが,それは全人格を丸ごと認めてもらうこととは違う
- 実際は部下のことを「利益追求の道具」としか見ていない.そんなことにショックを受けるほうが,考え方が甘いというべきだろう
- 空気を読む能力を身につけるためには,人を笑わせるための訓練をしてみるのが一番
- 絶対に徹底しなければいけない指示は,人口に膾炙しやすい標語やキャッチフレーズの形にして,何度でも繰り返す
- ワンフレーズに集約できない指示は,そもそも上司自身も迷いがあったり,いいたいことを自分のなかでまとめ切れていないことが多い