臆病者のための株入門 / 橘玲
- 作者: 橘玲
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2006/04/20
- メディア: 新書
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ジェイコム男やホリエモンがどうして儲けられたのかがシロウトでもわかるように書かれています.全般的に,非常にわかりやすい比喩で書かれているのでさらっと読めます.
橘氏のオススメする「トーシロ投資法」はわりと納得できます.ただし,2,3の前提を認めればですけど.
そもそもノーベル賞をとっている数々のファイナンス理論って,過去の経済というか人間が起こす経済現象を理論化しただけで,それが未来でも通用するのでしょうか?だってルールは変わるかもしれないし,そもそもそのルールには欠陥があるわけですよね.だからホリエモンは儲けられたんだし.しかも,どんどん新しいゲームが作り出されているわけで...うーん,聞きかじりのシロウトにはまだまだ難解です,投資って.
メモ
株式投資の3つのゲーム
NO. | ゲーム | 投資法 | 富の源泉 | メリット・デメリット・条件 | |
---|---|---|---|---|---|
1 | 株式投資は確率のゲームである(絶対に儲かる方法はない) | トレーディング(デイトレード) | 市場の歪み | ゼロサムゲーム | |
2 | 株式市場はおおむね効率的であるが,わずかな歪みが生じている(有能な投資家によってすぶに発見され,消滅してしまう) | 個別株長期投資(バフェット流投資法) | 市場の歪み + 長期市場拡大 | 長期にわたる日本株の成長が条件 | |
3 | 資本主義は自己増殖のシステムなので,長期的には拡大し,株価は上昇する(それがいつかはわからない) | インデックスファンド(経済学的にもっとも正しい投資法) | 長期市場拡大 | 平均的にしか儲からない |
トーシロ投資法
ファイナンス理論の根幹にある前提 : 資本主義は自己増殖するシステムである.この運動がつづくかぎり,長期的には株式の価値はかならず上がる
- 世界市場全体に投資する「世界市場ポートフォリオ」
- 株価は長期的に経済成長率に収斂する,が,経済成長率の高い新興国にみんなが投資すると市場規模が大きくないのでバブルがはじけてしまう
- 自分自身を「サラリーマン債券」への投資と考えば,リスク分散するためには,自分の仕事とは異なる業種に投資すべき
- 2005年末 世界の株式市場における時価総額
米国市場 | ロンドン市場 | ヨーロッパ市場 | 日本市場 | その他 |
---|---|---|---|---|
50% | 15% | 15% | 15% | 5% |
その他
- テレビ,雑誌,ネットには,成功したトレーダーしか登場しない
- テクニカル手法のセミナー講師は,都合のいいチャートを探してきて,もっともらしい説明を後付けしている
- アノマリー(異常現象)を研究するのが,行動ファイナンス理論
- 投資家の仕事は,損をすることである
- 理由は,株式市場とは,損を薄く広く分散させるためのシステムだから
- 株式の価値は,その会社が将来にわたって生み出すすべての利益を現在価値に換算したものである
- 株式の価値を知るために必要な情報は,「将来の利益」と「割引率」
株式の理論価格 = 1株利益 / 割引率
- 「長期投資にリスクはない」は根拠がない,むしろ普通は「長期投資ほどリスクが大きい」はず
- 長期投資が大きな富を生むのは期待リターンがプラスのときだけ(株価が右肩上がり)