問題解決ファシリテーション(1)
先日,日本ファシリテーション協会会長の堀公俊さんの研修を受けてきたので,忘れずに実行するために要点のみメモしておきます.堀さんは,小柄で温和な印象の方.ちょっぴり関西交じりで「〜ですぅ」と若干語尾があがるのが特徴的でした.多くの企業でコンサルティングされているだけあって,事例が豊富で言いたいことがとてもわかりやすかったですね.普段は柔らかい感じの方ですが,たまに厳しい視線で非常に鋭い観察をされていたのも印象的でした.もちろん,内容は,理論からすぐに実践できる具体的なやり方まで大変有意義なものでした.
会議がいつも暗い,ブレストで意見がでない,気がつくと話しているのは自分だけ,特定の人ばかりが話している,議論が見えない/まとまらない,会議の結果が行動にならない,そもそもこの会議意味あるの…などなど.プロジェクトリーダー,チームリーダー,メンバー,いずれの人にもためになると思います.著書が多数あるので是非読まれることをお薦めします.
ファシリテーションとは
ファシリテート(facilitate)の名詞形で,「促進する,容易にする,円滑にする,助長する,スムーズに運ばせる」というのが原意です.
「集団による知的相互作用を促進する働き」
をファシリテーション(協調促進,共創支援)を呼びます.
具体的にいうと,
- 中立的な立場で,
- チームのプロセスを管理し,
- チームワークを引き出し,
- そのチームの成果が最大となるように支援する
のが,ファシリテータです.(フラン・リース『ファシリテータ方リーダーの時代』より)
コーチングとの違いについてはこう説明されました.
ファシリテーションの4つのスキル
- 場のデザインのスキル: 場を作り,つなげる (共有) ※
- ゴールを明らかにする
- プロセスを作り上げる
- 関係性を築き上げる
- 対人関係のスキル: 受け止めて,引き出す (発散)
- 傾聴で共感する
- 質問を駆使する
- 柔らかく主張する
- 構造化のスキル: かみ合わせて,整理する (収束)
- 主張を明確にする
- 書きとめて整理する
- 図解を活用する
- 合意形成のスキル: まとめて,分かち合う (決定)
- 意思決定手法を選ぶ
- 対立を解消する
- プロセスを振り返る
※()内は問題解決サイクル
1. 協働の場をデザインする
5つの要素
- 狙い(目的): 何のために話し合う?我々の使命は?
- Why
- ゴール(目的): どんな成果を目指す?成果物のイメージは?
- What
- 自分では落としどころを決めておいたとしても,あえてメンバーに聞く「今日はどこまでやりますか?」
- プロセス: 会議かワークショップか?どんな進め方?
- 段取りの納得性=結果の納得性
- ルール: 何を大切にする?話し合いのルールは?
- メンバー: 誰を参加させる?どうやって選ぶ?役割は?
- 異質性の効用
- 参加が決意を生む.利害関係者(やってもらう人,反対勢力)を入れておく
2. 知恵とやる気を引き出す
コミュニケーション
人を理解させるのは論理で,人を動かすのは共感です.
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- 思考(論理)の相互作用: 理解: IQ
- 心理(感情)の相互作用: 共感: EQ
なぜ意見が出ないのか?
- 意見が言えない…カリスマ型: 権威的な関係や攻撃的なムード
- グループを変える,書かせる,外す
- 意見が出せない…置いてきぼり型:
- 待つ,例示する
- 意見が思いつかない…堅物型:
- 発想法/フレームワークを使う,ロールプレイ
- 意見を言いたくない…拒絶型: 意見を言うモティベーションがない
- 関係性づくり(アイスブレイク),自己開示,体を使う
- 意見を言いづらい…窮屈型: その他の阻害
- 発散と収束のメリハリ,物理的環境を変える,指名,順番に回す
語学力アップという課題に対するブレストのロールプレイで,トヨタ社員はものすごい数のアイデアが出たそうです.組織の固定概念の違いだそうです.固定概念には2つあって,特にソーシャルブロックを打ち破るのは相当困難だそうです.いかに組織外の人と付き合うかですかね.
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- 個人(メンタルブロック)
- 企業,組織(ソーシャルブロック)
続きは… 問題解決ファシリテーション(2)