リーダーが判断しないことの損失

リーダーが判断しない/できないことの損失についてのメモ.

  • 生産性の低下
    • ある仕様要件を受けるか受けないかという問題の判断を先送りすると,仕様作成者のみならず設計エンジニアやマーケティング,企画など多くの関係者のムダな工数が発生する.
  • モチベーション低下
    • ある課題に対して,メンバAの提案Aを施策案としてほぼ決めていたところで,声の大きいメンバBにより提案Bが提示されると,明確な判断基準もなく提案B を採用する.これをやると,メンバAのモチベーションは下がる.何度もやるとリーダーへの信頼を失う.そしてメンバAは発言しなくなる.
  • 信頼の低下
    • メンバAとメンバBの意見が割れたときに,決定権があるリーダーが結論を先送りする.リーダー自身はどう考えるかと意見を聞いても答が返ってこない.こんなときは,メンバAもメンバBもリーダーへの信頼がゆらぐ.リーダーの頭の中が見えないと,メンバはそれに応えることが難しくなる.
  • 自律的行動の抑制
    • 判断しないとは,戦略的視点/思考がないともいえる.プロジェクトやチームにおいて,ゴールまでには複数のシナリオが考えられるわけだが,その中から最善と思われるものを選択することが戦略を決めることに他ならないから.戦略的視点がないと,メンバのベクトルが合うはずもない.

ビジネスの問題には正解がない.だからこそ,その人なりの明確な判断基準(ポリシーともいう)に基づいて判断するしかないことが多々ある.
確かにメンバに決めさせる,またはみんなで決めていくという民主主義的な考えも状況によってはぜんぜんありだ.気をつけたいのは,そのある種のやさしさが時には人を傷つけたり,時間をかけて決めていくことが大きな機会損失を生んでいるかもしれないことに注意しなければならないことだ.特にリーダーにおいては判断が迫られる機会も多く,そしてその影響は上層であればあるほど大きくなる.

判断は結果的に間違っていてもいい.
最悪なのは,判断しないことだ.